『マネーボール』──今度こそブラピにオスカー取らせたい [映画レビュー]
『マネーボール』(ベネット・ミラー監督)
メジャーリーグスカウトの地味かつ男っぽい映画である。スポーツも勉強もできる高校生が、アイビーリーグの大学にも推薦で行けるし、メジャーリーグからも、高額の契約金を提示したスカウトがくる。アイビーかメジャーか。両親はまっとうな人々で、べつに金には目が眩んでいない。「選ぶのは、おまえ自身だ」と言ってくれる。しかし、18やそこらで、人生選べるだろうか。若き主人公はメジャーを選んで、莫大な金とスターの地位とを得る──。けれども、人生はそう単純ではない。思わぬ「ワナ」が待ち受けている。べつに作為的に作られた罠ではない。だいたいが、そういうものなのよ、人生ってという程度のものである。
しかして、主人公の成績はふるわず、地位は凋落していき、せめてメンツを保てるコーチになっては? という声も聞く。しかし主人公はスカウトマンになる。さて、ここからが、この映画の見所である。堕ちた男の最後のガッツと誇りをブラピが魅せる。こういう、なんか、つまらない俳優がやると、かぎりなく薄汚れてしまう役を、ブラピがやると、二枚目を演じている時より光るのである。
今、オスカーの主演男優賞にノミネートされているが、ぜひ、取らせたいものである。
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