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『ウィークエンドはパリで』──ゴダールさまのおかげで★一個おまけ(★★+★) [映画レビュー]

『ウィークエンドはパリで』(ロジャー・ミッシェル監督 2013年、原題『LE WEEK-END』)


 


 本作は、最後の「3人」のダンスを見ればわかるように、ゴダールの作品『はなればなれに』のパロディであり、作中のテレビ映画のなかにも、その作品が「引用」されている。しかし、それに気づかなければ、ただのジーサン、バーサンの、わけわかんないウィークエンド(この題名も、ゴダール作品を意識しているようであるが、ゴダールの場合は、ただの『Week-End』であり、本作は、ごていねいに、フランス語の冠詞、Leが付いて、『Le week-end』である。「ほら、あの、『ウィークエンド』だよ、と言っているのかもしれない)


 


 『はなればなれに』は、若くてコケティッシュなアンナ・カリーナがなんとも魅力的であったが、こちら、五十代後半の設定ながら、実年齢六十三歳くらいの、リンゼイ・ダンカンである。いくらセミ・ヌードを見せても、「やめてくれよ!」(笑)としか、言えない。ほんとうに、監督は、なんのつもりで、こんな年寄り夫婦を、こともあろうに、『はなればなれに』のパロディの主人公に使ったのだろう? いくら超高齢化社会のエンターテインメントとはいえ、あまりに夢がなさすぎる。まあ、年寄りでも、せめて、ジェレミー・アイアンズくらいの男が、夫役なら見られもするが、この、ブロードベントとかいう男優、名優なのかもしれないが、許し難い容貌である(笑)。こんなの、日本の「デイサービス」に掃いて捨てるほどいる。


 


 そして、結局のところ、イギリス人は、フランス人にはなれないのである。レビュアーの多くの方々が指摘されているように、高級レストランでの、「キュートな」(はずの)無銭飲食が、まったくキュートにならなくて、単なる非常識にしか映らない。おそらく、ゴダールの、登場人物なら、キュートにこなしてくれただろう(もしかして、そんな場面もあったかもしれない)。それと、パーティーで、バーサンが、中年男にナンパされる。また、このバーサン、「若い男に本屋でナンパされたこともある」などと夫に威張る。いいトシこいて、いちゃつく夫婦……映画とは、お金を払って美男美女を観に行くところでもあるのに……(苦笑)。ことほどさように、「バーミンガム」から出てきた、「田舎のネズミ」、やっぱり、パリは似合いませんでした、という映画に相成っている。ゴダールは当然「ド無視」だろう。しかし、その心意気だけ買って、★はひとつ増やしておく。妙な生活感も、べつのテーマと思えば、悪くはない(笑)。イギリスってそういう国なのね。私はそういうイギリスが性に合ってはいるが(笑)。音楽もそれほど悪くはない。


作家として成功した友人(ジェフ・ゴールドブルムが、いかにも、おフランスにいそうな要領のいいアメリカ人を演じているが)の豪邸のパーティーに集まる、おフランスの出版界のスノッブどもの描写も見物(みもの)ではある。

 


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