ダイアナ・クラール、ニューアルバム『wallflower』──ジャズとは脱構築である。 [音楽]
ダイアナが子ども時代に親しんだ曲を選んでいる。リンダ・ロンシュタットへのオマージュ、『desperado』(リンダと聴き比べた)や、マイケル・ブーブレとのデュエット、『alone again』や、ブライアン・アダムスとのデュエット『feel like home』や、表題作、ボブ・ディランの『wallflower』、ポール・マッカートニーに頼み込んだ、『if i take you home tonight』など、珠玉といっていい作品群で、聴くほどにスルメのように味が出てくる。
これらの選曲から、「ジャズを期待していたのに、ポピュラーソングとは……」と、怒る人々を国内外問わず、ネットで目にした。しかし、ダイアナの真骨頂は、これらをジャズにしているところである。ジャズとは、アレンジであり、スタイルであり、脱構築なのである。それを、ダイアナほど、体現しているミュージシャンはいない。
アルバムの写真も、声も、まったく媚びていない、辛口が気持ちいい。
そして、本アルバムの白眉は、なんといっても、最初に入っている、パパス&ママスの、『california dreamin'』である。「グレイの空の下、教会に入りひざまずき、祈るふりをして……カリフォルニアを夢見る……』、まるで、この曲のために、発売を、冬の季節にしたかのようである。グレイの空の下……、わんこの散歩時に、これを聴き、かつ、「いっしょに歌いながら(笑)」、カリフォルニアを夢見るのである……。パパス&ママスより、さらにスローに歌い出す、一節太郎(誰それ(笑)?)のようないぶし銀の声が、しだいにドラマチックに高まっていくのは、感動モノである。
「残雪やカリフォルニアを夢に見る 山下」
(って、なんの芸もない句ですが(笑))
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