式部の愛 [文学]
昨日(10月27日)は、満月だった。雲の間を出たり入ったり。こんな月を見ると思い出すのは、あの歌。
めぐりあひて見しやそれとも分かぬ間に雲がくれにし夜半の月かな
これは、紫式部が同じ受領の娘である幼なじみと、束の間の再会をしたときに詠んだと言われるが、その時期は、七月十日、いまの暦でいえば、八月末頃である。
一方、今の季節にふさわしい歌は、「勤務先」の藤原道長邸の、年下の同僚、小少将の君が宿下がりしている寂しさを、彼女からの歌の返歌として詠んだ以下の歌。そこには、同性愛を思わせるような「愛」が滲み出る。
ことはりの時雨の空は雲間あれどながむる袖ぞかはくまもなき
小少将の君は、道長の「公式の愛人」であったと言われる。そういう「職」があったようである。
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