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『Re:LIFE〜リライフ〜 』──エレガントなダメ男ヒューの魅力満載(★★★★★) [映画レビュー]

『Re:LIFE〜リライフ〜 』(マーク・ローレンス監督、2014年、原題『THE REWRITE』


 


 監督のマーク・ローレンスのノリと嗜好が好みである。さすが、ニューヨークはブルックリン出身。軽いけど、ただの軽さではなく、ひねりも皮肉も、毒舌も、知的ウィットも、混ぜ込んである。一見笑ってオシマイのロマンチックコメディながら、キャラクターの細部もきちんと作り込んである。


 そんな作品には、ぴったりなのは、そう、「あのヒト」しかいない。毎度ノーテンキでドライなダメ男役が板についた、(一応)「イギリス紳士」、ヒュー・グラントである。英国なまりも、ニューヨーク州の片田舎では、おバカに聞こえるらしく、そんなシーンもちらりとある。


 「前作」、『ラブソング』ができるまでと、だいたい同じパターンながら、バージョン・アップしている(笑)。その前には、サンドラ・ブロック相手のラブコメ、『トゥーウィークス・ノティス』という作品もあった。どれも、ダメな男が、真実の愛(のようなもの)に目覚めるハナシである。


 が、今回がいちばんいい! すでに(撮影当時)55歳のヒュー、もう「昔はアイドル」じゃ、魅力がない。もっと「おとなな」魅力がほしい、ということで、今回、かつてはアカデミー賞も取ったが、「売れなくなって久しい」脚本家。職を求めて、不本意な、田舎大学の「脚本コース」講師に。70人の履修希望者のうち、10人を選ばねばならない。このへん、田舎の大学とはいえ、少数制で、よくできている。30ページだったかの学生が書いた脚本全部を読んで、受講生を決めなければならないが、メンドーだから、「顔写真で決めてしまう」ヒュー(笑)。このいいかげんさを、「じっくり」描いている(笑)。


 当然美人女子大生と不適切な関係。コワモテ女教授を怒らせてのご機嫌取り。などなど、毎度といえば毎度のパターンながら、大学の生活、脚本の書き方(これはローレンス監督、得意の分野だ)、などなどが、きちんと盛り込んである。


 このダメ男がステキなところは、公正なところ。才能ありげな男子学生をハリウッドに売り込んでやる。自分は身を引く。そして、結局、学生ひとりひとりを指導して向上させる。


 とくに、「年相応」のお相手、シングル・マザーの学生、マリサ・トメイ。このひとがうまいんだ。監督と同じNY出身で。このマリサが、生活のために、いろんな仕事を掛け持ちでやっていて、あるときは、大学の購買部、あるときは学食、あるときはレストラン、などで、ヒューの行くとこと行くとこ、現れる。しまいに、彼女の真面目さにほだされるという、かなりまっとうなラブ・ストーリー。こんな時代、まっとうさがまぶしい(笑)。ヒュー・グラントは、私にとって、「夢の恋人」というより、「感情移入できる」男。はぁ?


 あ、そうそう。『ラブソング……』同様、「売れてた時代の若き日」がちらりと出るが、アカデミー賞授賞式で挨拶している場面。長髪の、あきらかに若い(!)ヒュー・グラントが、「英国美形」時代の片鱗を覗かせている。それも魅力。

 

 


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