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『007 スペクター 』──どこにも新味のない陰気臭いスパイもの(★★) [映画レビュー]

『007 スペクター』(サム・メンデス監督、2015年、原題『SPECTRE』)


 


 もう主役のダニエル・クレイグからして、「嫌がってる」(笑)のが、なんとなく伝わってくる。クレイグ自体は、いかにも英国の匂いのする役者だけれど、このシリーズ、だんだん陰気臭くなっている。ボンドの過去が明かされた時からそれは始まって、スパイにトラウマのような過去をくっつけてしまったのが、そもそものマチガイだった。さらなるマチガイは、ジュディ・デンチのMを殺してしまったこと。あのあたり、オバサンでないと出ない「明るさ」というものもあった。原作では、もともとMは男性だけど、あれを、人生酸いも甘いもかみ分けている女性にしたことに意味があった。ジェームズがムチャしをして、「だめね、ボーヤ」的な苦笑いとともに、結局は保護をする──。


 新Mのレイフ・ファインズがまた陰気臭い。かてて加えて、冒頭に書いたように、クレイグが全然楽しそうでない。


 


 ボンドガールの、モニカ・ベルッチ、明らかに体型がオバハンで、厚化粧。イタリア人だから「お直し」もしていないらしいのは結構ですけど、もう、あの萬田久子と同じで「痛い」(笑)。主なヒロイン、フランス女優のレア・セドゥ。「今度の役は、ボンドと対等、頭のよい役だから引き受けた」……っていう発想がバカ(笑)。『ブルーは熱い色』の雄々しさは陰をひそめ、演技もイマイチ。フツーのボンドガールじゃん(笑)! ボンドもそうだけど、なにも荷物を持ってないのに衣装は次々変えて(笑)。タンジールだったかの古いホテルで同室でなければならないシチュエーションに、「触ったら殺すわよ!」は笑わせる。しかし、あっけなく「恋人」同士になってしまって、見てる方も呆気にとられた。いまどき、こんなに紋切り型でいいの? 


 


 ……てな具合に、物語は、どこも新しいところがなく進んでいく。まあ、長い伝統のシリーズであり、誰もが知ってる「ヒーロー」(?)なので、NHK「紅白」見るみたいに見てしまうのだが(笑)、「紅白」同様、表面楽しみながらも、内心「いったいいつまで続くんだ? もういいかげんにやめろ!」と思っている人も多いに違いない。『男はつらいよ』は主演の渥美清の死とともに終わってしまって、「リターン」することもなかったし、あれは渥美清=トラさんだったけど、このボンドは、次々役者を変えて続いていく。さあて、お次は? あ、ジェイク・ギレンホールだったら見ます(爆)!

 

 



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