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バルネット『青い青い海』 [映画]

『青い青い海』(ボリス・バルネット監督、クリメンティ・ミンツ脚本、1935年、モノクロ、ソビエト、71分、DVD)

 

 当然古典として、押さえておかねばならない、ボリス・バルネットの1935年作品である。

そこは、ロシアというより、ソ連のコルホーズ漁業組合の、カスピ海の島。船が難破して、二人の若者が島に流れ着き、島の人々(コルホーズの人員)に助けられる。このあたり、シェークスピアの『あらし』を連想させる。

島の娘、マーシャと二人の青年の恋のさや当て──。

それが全然ロマンチックではない。むしろ、ロマンチックなどという言葉は、資本主義の贅沢品なのかもしれない。エロティックもしかり。ここには、恋はあるが、色気はない(笑)。

そして、題名通り、波また波の、「青い青い海」がモノクロで描かれる。波のうねり、力、太陽、夜の光、砂浜、そして、海辺で働く人々──。

 なるほど若者はいるが、かっこいいものも、洗練もなにもない。そして、最後、娘は、二人の若者に打ち明ける。婚約者がいるの。彼はもう5年ほど前から海の兵士として遠くの土地へ任務で言っている。もしそれがあなた方で、婚約者が他の男に心変わりしたら、どんな気持ちがする?

 そうだなー……。二人は島を去る決心をする。歌えや踊れの、集団漁業の人々たち。アゼルバイジャンらしき民族音楽。

 ここには、今の映画が見失ってしまった、肉体がある。そして、その肉体を駆使した力業。海だけリアルで、小屋などは、舞台のようである。そして、笑い。潮の匂いが漂ってきそうな生(なま)な感じ。

 

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