SSブログ

【訳詩】マラルメ「告白」 [訳詩]

【訳詩】

 

「告白」 マラルメ

 

私の魂はきみの額に向かう、おお穏やかな恋人、

赤茶色の染みをまき散らされたひとつの秋が夢見る額

そしてきみの天使の瞳を漂う空に向かう

入れ、物寂しい庭園へ入るように、

忠実なれ、蒼穹へ向かうひとすじの白い噴水のように!

──青白くまじりけのない十月によって柔らかくなった蒼穹へ

ひとすじの噴水は大盤に彼の無限の憂愁を映す

たまり水の上の葉っぱの褐色の最後は

風のなかをさまよい、冷たい跡をつけるが、

長い光線の黄色い太陽はのたうつままに。

 

****

 

上田敏訳

 

「磋嘆(といき)」

 

静かなるわが妹(いも)、君見れば、想(おもひ)すゞろぐ。

朽葉色に晩秋(おそあき)の夢深き君が額に、

天人の瞳なす空色のまなこに、

憧るゝわが胸は、苔古(こけふ)りし花苑(はなぞの)の奥、

淡白(あはじろ)き吹上(ふきあげ)の水のごと、空へ走りぬ。

 

その空は時雨月(しぐれづき)、清らなる色に曇りて、

時節(をりふし)のきはみなき鬱憂は池に映ろひ

落葉の薄黄(うすぎ)なる憂悶(わずらひ)を風の散らせば、

いざよひの池水に、いと冷やき綾は乱れて、

ながながし梔子(くちなし)の光さす入日たゆたふ。

 

***

 

註:まったく同じ風景を言ってるんですけどね(笑)。

 

***

 

【原文】(アクサン省略)

 

Soupir

 

Mon ame vers ton front ou reve, o calme soeur,

Un automne jonche de taches de rousseur,

Et vers le ciel errant de ton oeil angelique

Monte, comme dans un jardin melancolique,

Fidele, un bland jet d'eau soupire vers l'Azur !

____Vers l'Azur attendri d'Octobre pale et pur

Qui mire aux grands bassins sa langueur infinie

Et laisse, sur l'eau morte ou la fauve agonie

Des feuilles erre au vent et creuse un froid sillon,

Se trainer le soleil jaune d'un long rayon.

 

 

(原文は美しい韻を踏んでいるが、とてもそこまでは写せない、上田敏先達とワタシでした(笑))

 

 

****

 

 

「宮人よ我が名を散らせ落葉川」 芭蕉

 

 

(「落葉」は、冬の季語)

 

 


nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。