【詩】「詩のわかれ」 [詩]
「詩のわかれ」
資生堂が出している『花椿』は、昔は、デパートなどの資生堂のカウンターに置いてあったが、最近は見ることもなくなった。少なくとも、福岡「ジュンク堂」にはない。それがたまたま、新しくできた、六本松421内の、ツタヤ書店に、ほかの雑誌と並べられておいてあったので、ほかの雑誌といっしょにカウンターに持って行くと、やはり「タダ」だった。
今号は、「第35回現代詩花椿賞受賞作」が、「花椿文庫」となって、綴じ込みの紙の袋に入っている。
井坂洋子さんの詩集だが、冒頭に、「書き下ろし」が、この『花椿』のために、一篇加えられている。「波」という詩だ。
きょうという日の次に
きょうという日はやってくる
打ち続くきょうという波の
寄せては返す 他愛のない
物語
すべて書き写すのは、著作権を鑑みて差し控えよう。
受賞詩集の『七月のひと房』は読んでいたが、正直、
なんとも思わなかった。選考委員の池井昌樹は、
「最古の故郷と故郷に微睡む最古の幼心、そして、それら全ての喪失感がある。ヒトの世の根源にも宿る記憶にも、その消失にさえ無自覚な『いまここ』への静かな、烈しい警鐘とも捉え、選考委全員の総意として本詩集を受賞作と決定した」と書いている。
奥付の選考経過に、「午後6時12分、受賞作を決定しました」とある。選考会は、午後2時15分に始まったとある。分刻みのタイムラインである。
おそらく、これらの詩人たちの壁の内部に、自分が入ることはないだろう。
池井昌樹は、いろいろな賞の選考委員をやっているが、すべてこのような表現で詩を測るなら、それに関与しうることもないだろう。
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