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【詩】「ポップなジジイ細田傳造氏」(一応「詩」です(笑)) [詩]

「ポップなジジイ細田傳造氏」(一応「詩」です(笑))

 

細田傳造氏から同人誌『ユルトラ・バルズ』(イミフ)を送っていただいた。私に同人誌を送ろうとする人も珍しいので(ほんとうは送ってほしくないのだが(笑))、なにか感想を書くべきなのかな? と思って書きだしたところだ。これが有名人なら、無視もいいだろうが、私は市井の一般人なのでそうもいかない。いくらあちらから「送らせてください」と言われたものでも、受け取って無視したら、横柄なやつだと思われるだろう。細田氏もなにかを期待して送ってきたのだろうし。なにを? 私はべつに、同人誌評などもやっていないし、なになに賞に推薦してくださいの、葉書も来ないし。まあ、ブログとかホームページは持っているので、そこに書くぐらいかな。あるブログの1日のアクセスは、100になることもあるので、まあ、少しは他人の眼に触れるかな、ということぐらいか。御利益と言ったら。

この同人誌、なかなか上等な紙で作られた、洗練された雰囲気の冊子で、判型も正方形に近い特殊なものだ。だから、180円のスマートレターの封筒に入らず、320円のレターパック・ライトで送られてきた。まだまだ封筒の隙間はあって、コスパの低い同人誌と言える。

同人の面々を見るとかつてお見かけした名前もちらほら。

まず最初のページを飾るは、阿部日奈子氏の『島嶼歴訪』。ここに書かれた風景は、去年の暮れだか実家で見たテレビのドキュメンタリーで、日本人がこんなところにもいる、様子を映したやつにそっくりだった。なにか「どうだすごいだろうと書き手が思い込んでいる事柄」を描写しただけという感じ。だいたい、この頃の詩は、どんなものでも「描写」しようとしているにすぎない。心象風景だったり、妄想だったり。すべて「描写」。詩とは何かが十分に考えられていない。まー、以下、似たようなものだな。ただ、細田傳造だけは詩になり得ているような気がした。それは、細田が世界に対して正直だからだ。それと天性の言語感。森山恵という人がこの詩誌の編集をされているようだが、この人のペダンチックというのか、そういうものが伝わってくる。アーサー・ヘイリーの『源氏物語』に痺れて、その現代日本語?訳をしているようだが、私も、ヘイリーではないにしても、サイデンステッカーの『源氏』を持っているし、その冒頭の『桐壺』も十分に衝撃的だ。

 

The grand ladies with high ambitions thought her a presumptuous upstart, and lesser ladies were still more resentful.

 

大いなる野心を抱いている高い身分の貴婦人たちは彼女を生意気な成り上がり者と考え、それより低い身分の婦人たちは、さらにむかついていた。

 

ノノとまあ、こんなふうに、「明快」にはなっているのだが、果たしてこれが、紫式部の『源氏』の魅力だろうか? と思ってしまう。それより、国文学者の大野晋をしても、「源氏の文章は難解である」と言わしめているのだから、この原文を読解することの方が先なのでは? と私自身は思っている。

 

こういう同人誌のなかで詩を発表することが、細田傳造氏のためになるのかどうかは、よくわからない。ただ、私としては、ネットで詩を発表している詩人の方が、「活きがいい」ような気がする。潔いというか。詩は、刺身といっしょで鮮度も重要だから。

ネットで発表しないで、同人誌だけだと、数が貯まらない。するとなかなか詩集にできないしサ。隠すようにして書いて詩集を出す人もいる。

私の印象では、細田氏は、彗星のように現れ、いきなり、中原中也賞と丸山薫賞を受賞され(ほかにもあるか知れないが)、それなりに「努力」されたようであるが、さてその先、どういう賞を制覇されるのか? しかし、いかなる賞を取ろうととも、以前に比べ「盛り下がっている」ような気がする。思潮社刊の『かまきりすいこまれた』(第一、かまきりは、排水口の鉄の蓋の裏側に、ちゃっかり貼り付いているかもしれないし)は、書肆山田刊の前の詩集に比べて、エネルギーは衰えているような印象を受ける。鮮度も落ちているような……。

「詩壇」(というものがあればのハナシだが)は、依然、ネット拒否の、池井昌樹と、人気商売の谷川俊太郎の帝国だろう。果たして細田は、この帝国を乗っ取ることができるか? ダークサイドに墜ちないことを祈る。ぬあんて(笑)。


 

 


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