【詩】「父俊成とは骰子国から帰れなくなったマラルメなのか?」 [詩]
「父俊成とは骰子国から帰れなくなったマラルメなのか?」
ながれきてちかづく水にしるき哉まづひらくべきむねの蓮(はちす)は
われは父四十八歳の時の子なり。
深い眠りに落ちる寸前に現れるイマージュのなかで、誰かが車の窓から手を振るので私も手を振り返そうとして手をあげると、持っていたシャープペンシルを顔の上に落としそうになってハッと目覚めた──。
思えばマラルメは最初の詩(ソネット)「Salut」で何を言おうとしたのか。脚韻を踏んでいる。
*まだ手つかずの一行
このグラスのほかのどこも目指さない
一群はかくも遠く
サイレンたちは何度も潜り直す
航海しよう、おお、いろんな友だち
私はすでに船尾
きみたちは、雷と冬の波を切る
贅沢以前
美しい酔いが私を
縦揺れの恐怖から逃れさせ
直立を保たせてくれる挨拶の
孤独、暗礁、星
価値あるものはなんでも
われらの帆の白い心配ごと*
しかして父はかの国から帰れず、
骰子の目が頼りの航海
そして旅に出たことの後悔
われを産ましめたことは、どうぞ、
更改なされぬよう。
***
(*印は、Stephane Mallarme 「Salut」のテキトーな訳)
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