【詩】「らくてん」 [詩]
「らくてん」
ゆきかへるゆめぢをたのむ宵ごとにいや遠ざかる宮こかなしも
らくてんたって、あのウェブサイトの会社じゃないんだ。おれにとってはとーぜん、白居易のあざなよ。まー、おいらからして、ざっと400年近く前の、中国の大詩人よ。む、む、むらさきも、ばしょさんも、みーんな読んで、大きくなった。大きいな、大きいな♪……
「旅に病んだっていいじゃないか」
長安正月十五日(この正月は七月ナ)
諠諠車騎帝王州
羈病無心逐勝遊
明月春風三五夜
萬人行樂一人愁
旅に病み、都で鬱々としている若きらくてん。
この「旅に病む」という美しい言葉を芭蕉はパクったかもしれない。
堀田善衛は、『定家明月記私抄』で、オレ(って定家さまのことね)は、毎日儀式だのなんだので、あっちいったりこっちいったりで忙しく、かつ、ひとの服装などを実に細かく日記に書いている、などと「特記」している。バッカじゃなかろかルンバ♪ 1100〜1200年代の「貴族」(コホン!)の生活を、1986年と比べたってしょうがないし、そんな凡庸なカンソーしか記してないなんて、ペラい本だな。そっかー、1986年かー。すでに30年前だ。え? すでにって……いったい、「いつ」にいるのアンタ? ってか? そうさな、おれさま……ってゆーか、おれさまの霊は、2018年あたりをさまよっているんだナ。あ、そーかよ。
え? いま「あ、そーかよ」って言ったのだれ?
わたす。ぼるへすです。
「詩人の使命は、たとえその一部であってもいい、言葉が持つ、本来の、今は隠されている力を回復してやることではないか」*
そう。きみはきっと、『平家物語』も書くのだろうナ。
そう。火が夢見た、星へ旅する話。見よ、
やがて滅びる一族が、いま、台頭する!
一匹の鱸(すずき)が語る、ギュンター・グラスもびっくりの歴史物語。
いまだ、わたしは18歳にいて、「三日、天晴陰、御正日、束帯参舊院、六十信之外七僧、道童子六人、左、親雅、左衛門権佐、……」などと記している。
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* ホルヘ・ルイス・ボルヘス『永遠の薔薇・鉄の貨幣』(国書刊行会)より引用
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