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同人誌『Ultra Bards』Early Autumn 2018 vol.30 [ザッシ]

細田傳造氏が送ってくださった。細田氏が送ってくれなかったら、こういう、一見「敷居の高そうな」同人誌の存在など知るべくもなかっただろう。裏表紙にmembersと印刷されている名前は、阿部日奈子、有働薫、國峰照子、小林弘明、中本道代、眞神博、森山恵(この名前の横にだけ住所がない)、印刷七月堂、編集阿部日奈子。


そういえば、前号も送ってくださって、内容も記憶にある。あるのは、でんちゃん(細田氏)の詩ではなく(すまぬ)、森山さんて方が、ウェイリー訳の『源氏物語』を「日本語への〈戻り訳〉」(本人の言葉)をされていることを、後記に書かれていて、今号の後記を見て、そうだったと、思い出したのと、阿部日奈子氏の散文詩が、なにか外国の友人の「経験」を詩にしていて、今号もひき続きそんな感じだということ。有働薫氏は、でんちゃんがおフランス語を習っているということだった。


このザッシ、誰のこだわりか、幅を少し狭めれば、ひとに送るのに、180円のスマートレターに収まるのに、「わざわざ」正方形に近いかたちの変形版で、それゆえ、でんちゃんは、360円のレターパック・ライトに「突っ込んで」送ってくれた。自己満足以外のなにものでもないように、私には見える、このこだわりのために、郵送費は倍である。まー、すべてがそこに現れているのような、ケッコー時代に逆行した、エリートザッシである。そこに、なんで、でんちゃん? であるが、まあ、氏の詩、「犬三題」(犬になりきっている(笑)三つの詩である)を読めば納得がいく。ノラ公でんちゃんは、どうも、プードルなどの気取ったわんこのいる「お屋敷」に潜り込んでしまったようなのである。でんちゃん、犬好きかどうか知らないが、犬になりきっていることは確かである。同様に、バッタやカマキリなどになりきるのであるが、どうもこれがでんちゃんの才能のようである。しかも、T.S.エリオットが言ったように、詩は個々の言葉ではなく、構造に現れるというのを、実現している。ほかの「同人」の方々が、お書きになるのは、福島原発のロボット(國峰(このバーサンには、30年ほど前に絡んだことがあるが、また絡むことになってしまった(爆))の「説明」とか、イラン革命に遭遇した友人(ちなみに、井筒俊彦も自身が長期滞在を予定したイランを革命に見舞われて辛くも脱出する様子を書いているが)の聞き書きの「説明」(阿部日奈子)、今度は、井筒俊彦の『意識と本質』からの「引用」(だけの論文)(中本道代)とか、まー、よく読むと、気取ってるわりには、教養も創作力も疑問符のものばかり。でんちゃんはメス(つっても、若いのはいないよ(爆))の匂いにつられて侵入したのか? それはよくわからねど、前号より確実に進歩しているのは、よくわかった。たとえ前号の詩を覚えていない(ということが実は証左であるが)としても。


『源氏物語』であるが、私も、サイデンステッカー訳だったかな? と「原文」をつきあわせて、英訳の「論理」に「なるほどー」とは思うことはあるけど、その英訳からまた日本語訳を作りたいという欲望はない。それは「原文」からかぎりなく離れていく行為であり、また「構造」を消していく行為である(ということに気づかないのかな〜?)。『源氏物語』に関する外国人のすぐれた論文に、マックス・コメレルのものがあり、この論文を読めば、「戻り訳」がいかにズレた行為かはわかるであろう──。てなわけで、


でんちゃん、私に送ったことによって、除名されても、当方は責任持たないからね(笑)。



ultra.jpg






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