SSブログ

ミシェル・フーコー『言葉と物ー人文科学の考古学』(渡辺一民・佐々木明訳、1974年、新潮社刊) Michel Foucault "Les mots et les choses"(1966, Edition Gallimard) [哲学]

ミシェル・フーコー『言葉と物ー人文科学の考古学』(渡辺一民・佐々木明訳、1974年、新潮社刊)

Michel Foucault "Les mots et les choses"(1966, Edition Gallimard)

 

 

実は、『臨床医学の誕生』に、「言葉と物」は、重要なタームとして出てくる。というか、フーコーのテーマが「言葉と物」である。つまり、言葉と現実である。現実が、歴史的に、言葉をあてがわれていく、そのさまを、文献をもとに明らかにしようとしているのが、フーコーの学問的態度で、本書は、これ一冊で、近代、現代思想の重要なものがあらかた詰まっている。すなわち、マルクス、ソシュール、井筒俊彦などである。これらを読むより、本書一冊読んだ方がコストパフォーマンスは高い。さらに、「人間の終焉」、AI論にまで及んでいる。最終行は、以下のように結ばれている。

 

Alors on peut bien parier que l'homme s'effacerait, comme a la limite de la mer un visage de sable.

 

そのとき、賭けてもいいが、人間は海岸線の砂に描かれた顔のように消えるだろう。

 

 

とはいえ、難解な書である。いきなり読むと、日本語訳でも、なんのことかさっぱりわからなくなるだろう。章立てが、すでにしてフーコーの技=思想なのである。さらにこの章立ての森に深く分け入るために、次作、『知の考古学』(L'Archeologie du savoir, 1969)が用意されている。それに、本書の訳は、わかりやすい訳とは言えない。フランス語はできても、言ってる内容がつかめてないような気がする。むしろ、精神医学の専門家の神谷美恵子氏訳の『臨床医学の誕生』の方が明快である。まあ、『臨床……』の方がわかりやすい構成にはなっているが。



lesmots.jpg



nice!(4)  コメント(0) 
共通テーマ:

nice! 4

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。