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【詩】「春待つアリス」 [詩]

「春待つアリス」

 

依然コタツで居眠りしている。

世界は無音の祝祭中だが、

ボクはこうして背をまるめて

眠りながらミステリーを書いている。

長編小説は、レース編みのように、

ひとめひとめ、辛抱強く

続けていかなければならないんだ。

殺人はあっても、それはクロッカスの球根のようなもので、

ひとの感情は動かない

謎を星雲のように渦巻かせ

へのへのもへじの双六の夢

かつて、鰐だったもの

かつて、560円だったもの

らが、耳を澄まして

あるちゅーるのランボーが

ぶっきらぼうに言葉をステアして、

ミキシンググラスのなかで地獄とやらが

あまいカクテルと化していくのを

聴いている。

いったいなんだっていうんだ? きみの地獄って。

依然夜だ

朝なんて来ない。春が永遠に来ないように。

 


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『キングスマン:ゴールデン・サークル』──今年ベスト3(早いか(笑)!)(★★★★★) [映画レビュー]

 

『キングスマン:ゴールデン・サークル 』(マシュー・ヴォーン監督、2017年、原題『KINGSMAN: THE GOLDEN CIRCLE』)

 

 なんたって発想が新しい。死んだはずだよおトミさん〜♪のハリー(コリン・ファース)に拾われ、キングスマンとして教育された、元ストリート・ボーイのエグジー(ターロン・エガートン)が、ほんもののスパイになっていく。ハリーの口癖、Manners make man(マナーが紳士を作る)をモットーに、英国紳士にして悪をやっつけるスパイになっていくのだが、このスパイ組織、「親方ユニオン・ジャック」ではない、つまりは、政府とどこかでつながっている組織ではないところがすばらしい。「キングスマン」は、名前こそ「キング」がついているが、英国製というほどのイミしかない。「女王陛下の007」とは大違いである。私設の組織である。だから、人民を無視する首相は失墜し、彼を補佐していたエイミー・ワトソンに告発される。という、「小さな」スジまである。

 007と大きく違うのは、主役は、若造で、しかもスエーデンの王女と恋に落ちたため、逆タマの、王子にまでなってしまうのである。彼女へ求婚したエグジーは、スエーデンの王と王妃という、「恋人の両親」との食事も、ハリーが教え込んだマナーと、同僚が「秘密の通信」(メガネがコンピュータになっている)で与える知識によって、教養も礼儀作法も王家にふさわしいムコとなるところは痛快である。

 おっと、メインストーリーは、ジュリアン・ムーア扮する、悪の麻薬組織を壊滅させるまでの戦いであるが、この悪の帝王は、今まで男性が演じてきたが、予想されたようなお飾り的存在ではなくて、しっかり堂々と「強敵」なのである。

 テーラーを隠れ簑としている「キングスマン」は、同僚をやられ、マーク・スロング扮する、メカ担当のマーリンと、エグジーしかいなくなって、「最後の非常事態」用のウィスキー試飲部屋に入ってみると、そこには、スコッチはなく、バーボンがあり、瓶の銘柄は、「ステイツマン」とある。いざ、アメリカ、ケンタッキーのバーボン製造所へ!

 ブーツを履いた「ステイツマン」側には、カーボーイなお兄さんたちが待っているが、ここでもスジはそれほど単純ではなく展開する。

 そこには、眼を撃たれ死亡したハリーが生きていて、もとの「キングスマン」リーダーに返り咲く──。なにがおかしいと言って、小技の武器が、007よりエロいのである。そのひとつは、コンドーム型指サックで、エグジーが「フェスでコマした」敵側のオトコの恋人の女の「そこ」へ差し入れると、「粘膜を通した情報」が、ハル・ベリーらのモニターに映し出される。「あら、テキーラ(チャニング・テイタム)もやってたのね、感心!」なんていうセリフまである。

 小柄な体に筋肉をつけたエグジーだが、やはりどこか少年っぽく、そこが魅力で、抜群の運動神経も武器ではあるが、襲ってくるメカを「ハッカーして」逆に敵に向かわせるなど、現代的で小回りが利いている。もうオッサンがかっこつけて美女を侍らせる時代は終わった。エグジーはあくまで王女の恋人ひとすじで、昔のストリート仲間とつきあっている。政府などあてにならない時代のヒーローにぴったり。

 


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年賀状 [日常]

やっと製作した年賀状です。


nenga2018.JPG



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【詩】荒地1 [詩]

「荒地1」

 

荒地とは、荒れた土地ではなく、耕地として利用されていない土地。

すべての土地を、畑(日本の場合は、田んぼも含めて)にするのではなく、なんでもない土地として、自然を残しておくことを、熊沢蕃山は提唱した。

おそらくは、T.S.エリオットの「Waste Land」も、そのようなものだっただろう。

多くの行が、さまざまな書物からの引用であるこの詩は、その底に、ケルトの妖精たちや、聖剣エクスカリヴァーが埋まっている大昔の土地を隠している。魚王や、蛙たちの土地。

あらゆる生物は、延髄で情報を集め、脳に送る、ようにできている。

しかし脳が処理する情報は、たったの、0.0001%。そのほかの情報は捨てられる。情報とは、嗅覚、触覚、味覚、視覚、聴覚などの各器官が集めるもののほかに、脳が集める記憶、幻想などもある。

女探偵が、記憶の大地から、その聖剣を引き抜く時、

荒地は香りを沸きたたせるだろう。

「さあきみに、記憶の指輪を!」

そういってランスロットは、くちびるを、わたしのくちびるに触れさせた。

太古というゲームがはじまる。



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