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【詩】「そしてポンジュ」 [詩]

「そしてポンジュ」

 

「水はいつも自分より下方にあり、それを見るときは視線を下げねばならない。水は地面のようだ、地面の一部のようだ、地面の変形のようだ」とポンジュは書く。

 

遺棄された郷愁のようなものが夜のミキシンググラスを満たすとき、私は祈りのようにポンジュの詩集を開き、どこでもいいから、とりあえず彼からの言葉をこの身に染み込ませるのだ。そうでもしなければ、宇宙の陳腐さに存在を見失ってしまう。

 

「水は常に崩れ続け、かたちをなすことをあきらめる」

 

すべてのはじまり。そしておわり。

水の内面にたってみれば、放埒さが遊んでる。

 

下方へ、下方へ。

 

まるで宇宙に上下があるかのように。

変形、水位、下方。

ひどく長い時間。そしてポンジュ。

 

常に半覚醒あるいは半睡眠状態のとき、詩のようなものが見えて、

素早く言葉を書きつけるのだが、それはいつも水のように崩れていく。

 

 

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Francis Ponge "DE L'EAU" (Le parti pris des choses)より一部引用翻訳。


 


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