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『不思議なクニの憲法 2018』 [映画レビュー]

『不思議なクニの憲法 2018』(DVD、松井久子監督)

 

 ドキュメンタリー作品であり、自民党の憲法改憲案に異議をとなえることが趣旨となっている映画であるが、ありがちな既成のメディアの寄せ集めインタビュー構成ではなく、監督の意志に貫かれた「作品」となっていることが、世界レベルとなっている。

 去年発表された作品の、「2018年版」となっているが、改訂は大きく、さらに草の根的市民を盛り込んだことで、松井監督の意思表示は明確になり、作品としても深まっている。最後まで観ることによって、ひとつの大いなる形に収斂することは、感動的ですらある。

 特筆すべきは、今回加えられた、ソウル大学・日本研究所の南基生教授のインタビューである。南教授は、東アジアでもとくに安定した平和の先進国である日本を、「基地国家」と規定している。つまり、第二大戦での敗戦より続く、アメリカ支配によって安定を保っている国であり、それは、1950年の朝鮮戦争の際にも、アメリカの基地として大いに「役だった」。しかし、草の根の力が強い国でもあるので、それが安倍政権の暴走をかろうじて抑制しているとも。日本人の学者では見えない新鮮かつラディカルな視点である。

 その草の根の力を、中心に拾ったのが本作である。松井監督の祈りは、その「抑制」を持たせたいということだと思うが、果たしてがどこまでもつか。多くの人々に観てもらいたい作品であるが、今のところ、上映する館が少ない。

 とりあえず、名古屋の名演小劇場(栄)では、2月3日から16日まで上映されている。ロードショーにならんものかね(笑)。

 

http://fushigina.jp/


 


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