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『シェイプ・オブ・ウォーター 』──「半漁人」のキャラがたってない(爆)(★★★) [映画レビュー]

『シェイプ・オブ・ウォーター』(ギレルモ・デル・トロ監督、2017年、原題『THE SHAPE OF WATER』)

 

 12年前の『パンズラビリンス』には確かに感心した。フランコ政権下のスペインで、苛酷な世界に生きる少女には、生の証としてファンタジーが必要だった。その魂の美しさをスペインという「ヨーロッパの果て」を舞台に描ききった──。

 

 しかして、12年後、またふたたびのダークなファンタジー? なるほど冷戦下のアメリカのマイノリティーたちは、生きるためにファンタジーを必要とした? しかし、本作でも「いみじくも示されている」ように、1962年のアメリカには、1944年のスペインとは違って、「チカチカブンブン」(よくは知らないが、ウィリアム・アイリッシュの『幻の女』にも出てくる有名なショー歌手の歌)もあれば、しゃべる馬「ミスター・エド」もいて、冷戦時代とはいえ、けっこうにぎやかで楽しい。このあたり、メキシコ人のデル・トロ監督は、はき違えているようにも見える。

 

 したがって、『パンズラビリンス』にあった、不思議などきどき感がまったくなく、エディ・レドメインにそっくりなサリー・ホーキンスの「ひとり芝居」があるのみである。

 

 半漁人だろうと、気味悪かろうと、なんでもよいが、「アマゾンで捕獲された、神」(こういうのが、「神」なのは、ユングの研究にもあるようだから、まったくの絵空事でもないようだが)は、もーちょっとキャラがたってほしかった(爆)。だいたい監督自身がすでにして、ファンタジーなど信じていないのではないのか?

 

「人は見た目が10割」の信条を持つ(笑)私だが、その私が嫌いな風貌のマイケル・シャノンが、でかい顔晒して、「まんま」の役柄を演じて、なんか意外性がほとんどない映画であった。頭で考えれば、結構なテーマの映画なのだろうが、それはたぶん、すでに頭で考えてしまった人の感想だ。私は直観的に、以上のような感想を持った。

 


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