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『トゥームレイダー ファースト・ミッション』──ララ 3.0(★★★★★) [映画レビュー]

『トゥームレイダー ファースト・ミッション』(ローアル・ユートハウグ監督、 2017年、原題『TOMB RAIDER』)

 

 

 17年前のアンジェリーナ・ジョリーは、三つ編み、巨乳を強調し、ゲームのララそっくりに作ってあった。本作も、ストーリー展開はほぼ同じ。冒頭はララの訓練シーンで、アンジェリーナは、確か、お屋敷の訓練場のようなところで、ハイテクの敵を相手に訓練していたような気がする。2001年は、21世紀最初の年で、妙に「ハイテク」を意識していた。それが「ララ 1.0」だとすると、その続編も作られたようだが、あまり評判にはならなかった。おそらく、時代がこのゲームの設定を超えてしまったのではないか? 私もゲームCDを持っていたが、まったくやらずにブックオフに売った。

 時間は激しく過ぎ去り、あの、アリシア・ヴィキャンデルが、「ララ」をやると知って、これは見逃してはならないと思った。こういう映画はスターが出てないと、という、ジジイなレビューもあったが、アカデミー助演女優賞を取っているヴィキャンデルって、スターでしょ? 彼女あっての「ララ・クラフト」。しかも、「2.0」を飛び越えて、「3.0」。リブートっていうのは、そういうことなのでは? アンジェリーナの名前はどこにも出てこない。比較にすらならない。時代が完全に変わってしまったのだ。

 ヴィキャンデルは、小柄で、肉感的なアンジェリーナと対照的な風貌をしている。可憐、さっぱり、クール。その肉体を鍛え抜いて、ほぼスタントなしでアクションをこなしたという。こちらのララは、富豪の家とは縁を切って、ロンドンで、シュミの格闘技(笑)のレッスンをしながら、バイク便の仕事をし、お貧乏な暮らし。完全に自立した女性である。

 どこかのトゥーム(=墓)へ向かうことになるのがお約束だが、その墓がぬあんと、日本の卑弥呼の墓だった。いったいどこにあるの? 志賀島?(うち(福岡)の近くじゃん(爆)。まあ、とにかく、途中香港に立ち寄って、日本付近の謎の島へ向かう。そこは魔界で──。

 その島には、死んだはずのオトッツァンがいて、友人の裏切られて、身を潜めていた。その友人は、卑弥呼の墓を暴き、世界を征服するパワーを得ようと、墓掘り作業を進めている……。このあたり、シェークスピアの『あらし』を思わせる。現に、ララもバイト仲間の前で、シェークスピアからの引用をごく自然に口にする。父が残した秘密の地図、古代の伝説、そしてパワーを手に入れて、世界征服を企む、「トリニティ」なる集団。ばかばかしいと怒らないでください、オジーチャン(笑)。これは、もともとゲームなんですから。でも、「伝説ももとは事実がもとになっているんだ」と、ララの父親が、幼いララに言う。そう、ゲームも、文学がもとになっていることが、ままあるんです(『ミスト』とか)。

 大の男を相手に、丸腰で闘うヴィキャンデルがすごい。これまでにあったような、大柄なヒロインではなく、華奢で強いのが新しい。母の形見の、緑の石のペンダントを質入れしたララだったが、「卑弥呼の魔の島」から帰って、(父の財産を継いだので)お金を持って、そのペンダントを受けだしにいくが、逆に拳銃を買ってしまう。それも最新式の強力銃。「2個いただくわ」。

 バットマンと似たような家庭環境にあるララであるが、もしなにかと親身になって彼の世話を焼く執事が悪とつながっていたら? さいわい、バットマンの執事は、善人が保証されている。しかし、ララ・クロフトは、執事にあたるような、父親の会社の重役が、どうやら最強の敵のようである。その「敵」は、クリスティン・スコット・トーマスが演じる。以下、(たぶん)続く(笑)。エンディングの音楽と絵画が、ヌケていて、やっぱ「3.0」である。




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