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【詩】「金井美恵子は瀬戸内寂聴の彼方へ行けるか?」 [詩]

「金井美恵子は瀬戸内寂聴の彼方へ行けるか?」

 

 

「なんていうか……。いっしょにしないでほしいのよね。いやしくもあたしは作家であって、なんていうか……坊主じゃないのよね。いくら髪型が近づいているからって。え? あの方も作家? へえ〜まだ書いてるんだ。なんていうか、要するに、ディスクールなのよ、アタシが書いてるのワ。そりゃ、アタシ、髪型はベリーショートだけど、丸坊主にしようなんて、まったく考えてないわよ。全然ちがうわよ。え? 笑った顔が似てる? じょーだんでしょ。だってあのヒト、『現代詩手帖賞』取ってないじゃない。私は、『第八回現代詩手帖賞』取ってます。一万円だったんだから。当時の賞金。あら、ダンプティ! てなもんよ」

 

などとしゃべっている声がどこかから聞こえてくるような2018年4月22日の夜9時頃、六本松421の高級(?)スーパーで買い物をすませて、2階のTSUTAYA書店に行ったら、ああら珍し(ここは、普通の書店ではない本が置いてある)、金井美恵子センセイが、表紙になった文芸誌が平積みされている。いまどき、そんな奇特な文芸誌(でしょー? ファッション誌じゃないと思うワ(爆))って、なんだろ? と裏を見ると、「あり得る」の『早稲田文学』でした〜。金井美恵子特集で、氏の新作から、インタビュー、ファンたる作家たちのエッセイ、そして、あの篠山紀信が撮った、若き日のコスプレ写真。これは、私は、「リアル」で見てます(笑)。どの文芸誌だったか忘れたけど、金井美恵子がおかっぱで、いにしえの衣装(着物だったか、ワンピースだったか、忘れた(今日見たばかりなのに(笑))が、二本の短い脚がむきだしになっていた。推定身長、145センチ。当時は、たしか、紀信か誰かの文章が付いていて、「このミーコは……」なんて書いてあって、なんか、愛玩動物風だった。よーヤルわ、作家なのに、って、私は思ったものだ。そういう印象だけは記憶に止めている。

美恵子センセイ、文筆だけで、五十年生活してきたのだから、エラいもんだ。十八歳からだからね。『現代詩手帖賞』取っただけで、文筆の生活に入ってしまった(笑)。それは、笑えない昨今。めぐりめぐって、そういう人々は、いまいるようだから。時代は、変わった、というか、めぐった、というか。

果たして、金井美恵子特集の、写真のご本人は、悦に入った表情で、きばんだ、入れ歯でもないような歯をちら見せしてるが、こんなザッシ、売れるのかしら?

まあ、金井美恵子という作家は、コアなファンがいるから、三十部くらいは売れるだろう。

文芸誌の特集など、なにをやってもいいんだ。どうせ採算など取れないのだから。

70歳の金井美恵子は、95歳の瀬戸内寂聴の子ども、といってもいい年齢だが、なんか、逆方向を向いた双生児のようでもあり、地獄、煉獄、と辿れば、いずれ、お会いできるセンセイ方かしら?

 

などと思いながら、当然そのザッシは買わずに、ほかの本を買い、TSUTAYAをあとにした私だった。

 

ちなみに、エドガー・アラン・ポーは、「短くなくては詩ではない」と書いている(「詩の原理」、ポー全集第3巻、1970年東京創元社刊)が、さてどうだか。

 

 


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