【詩】「ラストタンゴ」 [詩]
「ラストタンゴ」
宇宙の底深く、なにかの脱け殻
宇宙は、重力の微差ではじまったというが
そもそもはじまりとはなんなのか? あえて
死者たちに問わねばならない せめてもの
はなむけ わたしは
FBI特別捜査官ニッキー・アンダーソンと
タンゴを踊る ネルヴァルが縊死し
朽ちはてたその場で
これは、現場ですか? それとも
時間旅行ですか? それは
ホログラム いつでも同期
できるんです AIの心の傷は、ほら
天の星々となり 決して表情を変えない
アンダーソンはわたしを死ぬほど欲している
「落柿舎にて」@20180614 [旅]
「落柿舎にて」
「予は猶暫とゞむべき由にて、障子つゞくり、葎引きかなぐり、舎中の片隅一間なる處伏處ト定ム。机一、硯、文庫、白氏文集・本朝一人一首・世継物語・源氏物語・土佐日記・松葉集を置く、並に唐の蒔絵書たる五重の器にさまざまの菓子盛、名酒一壺杯を添たり」(芭蕉『嵯峨日記』より)