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【詩】「死刑の歴史」 [詩]

「死刑の歴史」

 

「狂気の歴史」「監獄の歴史」「臨床医学の歴史」ノノ近代理性が「ないもの」としたものの「歴史」を、ミシェル・フーコーは書いてきたが、ここへ来てはたと、死刑の歴史はどうなんだろう? とおれは思った。「死罪」というなら、奈良時代にもあったろう。大和時代にも。しかしそれは罪だけあって、「刑法」ではない。それに、問いは、世界レベルだ、というか、少なくとも近代ヨーロッパが基準だ。ローマ法? イスラム法典? 古代ギリシア? 人が人を、「法のもとに」殺す。ちなみに、西暦2000年代の日本では、「処刑室」(とは呼ばないだろが(笑))は、板張りできれいに掃き清められ、天井から被処刑者を吊す装置があり、被処刑者の足もとの床がパカッと開いて宙づりなるしかけになっている。法務官がその装置作動のスイッチを押すが、自分が押したノノとのトラウマが残らないように、スイッチは三つあり、それぞれ三人の刑務官によって押されるが、そのスイッチのうち、「実際の床を開かせる」のに繫がっているのは、どれか、わからないようになっている。

……そんな仕掛け、だれが考え出したのやら? おれは秘かに嗤う。死刑執行の罪の意識を逃れさせるために? ここにはからずも、「罪」なる言葉が出てくる。ちがう。その意識は三倍になるだけだ。三人ともが「罪」の意識を持ち続ける──。

西暦2018年、オーム真理教の信者十数人に対する死刑執行の決定をした女性大臣は、「一生SPに守られる生活を送るだろう」と、ネットの記事にあった。検察だったか、ジャーナリストだったかの感想だったようだが、かなりコワイ脅しの言葉だ──。

さて、フーコーよ、きみはネット時代を知らない。きみの魂は、どこかへ消えてしまって、おいらのように2018年をさまよえない。近代の理性が覆い隠したものは、確かにきみの言う通りだろうが、ここに想定外の事態が起こった。ネットだ。バカも間抜けも、凡庸なオッサンも、好奇心の強い主婦も、未成年のガキも、犯罪者も、高徳な人も、みんな混じり合って、がなりあっている世界だ。さあ、そこからどんな分析が可能か?

 

建久3年、西暦1192年、おれ、29歳。亥の刻、午後10時頃、後白河院死去。送葬の儀式いろいろ。貴族の時代はそろそろ終わり告げ、仁義ある暴力団=武士が台頭する。以後、4年間、おれは日記を書かない。

 

おーねがい、だまっていてえー。サイレンたちが歌う。照りつける日射し、葡萄酒色の海。ほかの誰かにささやいてあげたなら、きっと涙流して怖がるでしょうけど、でもわたしはだめ〜、全然怖くないーーー。だって最も怖いものは、あなたの船のしたー……

 

はて、なにがあるんでしょうね?

 

オデュッセウスは、まだ、「ヘレネを守ろう会」に入ってトロヤ侵略の策を練っている。オッサン、オッサン、なんでどこの誰かわからん女を守ろうとするの? それもひとの恋人を。

 

わからない。なにが彼をそうさせたか。作者(?)のホメロスでさえ。だって、彼さえ、彼の時代からざっと800年くらい前の伝説を語っているのだから。

 

情報の古層。時間の古層。感情の、魂の、

それでも、フーコーよ、きみは分析するのか?

 

賢木さす小塩(をしお)の野べのひめこ松かはす千年のすゑぞひさしき


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