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『オーシャンズ8 』──男には向かない職業(笑)(★★★★★) [映画レビュー]

『オーシャンズ8』(ゲイリー・ロス監督、2018年、原題『OCEAN'S 8


』)


 


 毎度シリーズを重ねてきた「オーシャンズ」であるが、本作を観るかぎり、犯罪、ことに盗みというものは、男には向かない職業だなとつくづく思う。第一男は、金ほしさに盗みを計画する、せこい、いざとなったらびびる、などで、規模も小さなものになりがちである。ところが、女、本作の主役、デビー・オーシャンは、前回までのオーシャン、ジョージ・クルーニーの妹であるが、どうも兄より、犯罪の才能に恵まれていると見た。オープニングは、彼女が出所することろから始まるが、所持品を返してもらうシーンでも、なかにゴージャスな腕時計があって、女性刑務官が「すてきな時計ね」などとお世辞を言うと、「兄のものだったのよ」と表情を変えず(だいたいサンドラ・ブロックは表情がないと言われるので、犯罪者やコメディはぴったりなのだ(笑))答える。


 女性刑務官「お兄さんの遺品?」


 サンドラ「(兄から)盗んだのよ」


 女性刑務官「まあ……」(というような表情をする)


 サンドラ「いいのよ。どうせ(兄も)盗んだんだから」


 女性刑務官、怪訝な表情になり、言葉を失う。


 


 次なる場面。高級デパートの化粧品売り場で、香水など高そうな化粧品をいくつか手にとってレジに向かい、


 サンドラ「返品したいんだけど」


 店員「お買い上げのレシートをお持ちですか?」


 サンドラ「ないわ」


 店員「では、(買った時の)クレジットカードをお持ちですか?」


 サンドラ「ないわ」


 店員「申し訳ありませんが、それでは、返品はお受けしかねます」


 サンドラ「もー……じゃあ、返品するのやめたわ。袋をちょうだい」


 店員「かしこまりました」


 で、高級そうな紙袋を渡す。サンドラ、いけしゃあしゃあと、化粧品を紙袋に入れて出て行く。高級ホテルも、「昔泊まった思い出の部屋をお願い」とか電話して、タダで泊まってしまう。……てなもんで、すべて、自信満々で行う。これが実に胸がすく(笑)。


 


 彼女がムショのなかで1000回シュミレートした犯罪計画を実行に移す。狙うは、世界のセレブが、ニューヨークのメトロポリタン美術館に集まる、「メットガラ」で、有名女優がつける、カルティエの、「1億5000万ドルのダイヤのネックレス」。そのために、さまざまな「専門家」が集められるのは、毎度の「オーシャンズ・シリーズ」のお約束である。もしかしたら、サンドラより格が上の女優かもしれないケイト・ブランシェットが、サンドラの「右腕」にまわり、わりあい抑えめの演技も、かえって役柄のクールさを出すのに成功していた。


 集まられる女たちは、職業も特技も人種もまちまちながら、8人全員、キャラ立ちしており、しかも、ドレスアップの見せ場が作られており、まことに大満足の女度200%の作品であった。


 


 で、最後(最初のシーンにもあったが)に、兄の「墓」(壁にはめ込んである引き出し)の前の椅子に座って、マティーニのようなものを「作って」(材料はバッグから出す)、「やったわよ!」と兄に杯をあげて飲む。


 まー、女の場合、ターゲットのブツだけでなく、周辺のブツ(メトロポリタン美術館にあった)宝飾類などなど、も「ついでに」いただき、その犯行の罪は、かつて自分を裏切った男にすべて着せ、盗んだ宝石をオークションなどで換金する手立ても見つけておき、換金された、総額150億円以上のお金も、平等に8で割って、それぞれの口座に入金されるんですけどね(爆)。


 


 


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