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【詩】「ロブグリエ」 [詩]

「ロブグリエ」

 

外は雨が降っている。「私」は安全な場所にいる。元兵士だ。記憶が途切れている──。さあ、その先は──。白地に青い文字の、エディション・ドゥ・ミニュイの本。その、アラン・ロブグリエの小説。それから先へ進まない。どうせ、何も始まらないのだろう。どうせ、何も起こらないのだろう。どうせ、何もわからないのだろう。ただ、言葉が最終ページまで戯れていく。しかたない、もう一度取り出して読んでみるか──。外は陽が照っている。人々が目を手で覆って、道を行く。埃、それはどこから来たか? 電灯の下? ベッド? 外は雪。子どもが近づいてきてとても低い声で、「眠ってるの?」と聞く。もう一度、少し声のトーンをあげて「眠ってるの?」と聞く。この物語はフィクションであると、最初に作者のことわり。兵士の物語? ある戦争の。そうやって、221ページまでいって、突然終わる。「私の背後のすべての都市」。読者は、この「小説」から何を読み取ればいいのか? どんな「物語」を期待するのか? なにも起こらないというわけではない。ベケットの小説とちがう。あれは──。頭のなかでできあがった、長いおしゃべり。これは、塵の様子や、「窓」の外の様子を、「描写」している。描写とは? 語るとは? 時間、そう時間がだけが存在するような……いや、時間はない。空間、空間だけ存在している。ちがう。そう、言葉、言葉だけ、もっといえば、シニフィアンだけ、存在している。シニフィアンとしてのまなざし──。アラン・ロブグリエ『迷路のなかで』Alain Robbe-Grillet "Dans le labyrinthe". 次に開くのは、十年後(笑)?

 

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