【詩】「ロミオとジュリエット」 [詩]
「ロミオとジュリエット」
バスの中で(iPod miniで)、マイケル・ブーブレの『フィーバー』を聴いておる。この、『ウェストサイド・ストーリー』を思わせるリズムの歌のなかで語られる、フィーバーすなわち、「熱」、恋の熱、ロミオ〜アンド、ジュリエット〜、なる言葉も当然出てくる──。思えば、ブーブレのこの曲を初めて聴いたのは、カレの車のなか、猛スピードで飛ばすカレが、「すきな曲を選んでいいよ」と言ったので、助手席で私が選んだ曲がこれだった──。車はアンダルシアを貫通する高速道路を突っ走る。ドン・キホーテもぶっ飛んでいく視界のなか、若きイタリアの男女が登場、
If I profane with my unworthiest hand
This holy shrine, the gentle fine is this,
My lips, two blushing pilgrims, ready stand
To smooth that rough touch with a tender kiss.
パーティーで出会った二人は、二人でソネットを完成し、最後の行はキスで終える。
英国社会は、表面は開かれているけど、奥へ踏み込むと、歴然とした差別が存在する──そうな。それは長年そこに住んだ、ある外国人の感慨。
もしも私の穢れた手があなたの聖なる祭壇を汚したというなら
はにかみやの二人の巡礼、すなわち私の二枚の唇が、やさしいキスでお許しを乞うため、ここに控えてございます
ロミオ〜♪ アタマの回転の速い色男〜♪
ジュリエット〜♪ 最も強い女〜♪
スピードメーターの赤い数字は、187を指している
対向車は皆無〜♪
飛ばせ〜飛ばせ〜♪
「サラゴサ」という標識も背後にぶっ飛んだ〜♪
てな、すでに妄想の領域へと踏み込んでいく追憶