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『華氏119』──マイケル・ムーアの革命待望論(★★★★★) [映画レビュー]

『華氏119』(マイケル・ムーア監督、2018年、FAHRENHEIT 11/9))

 

 ドキュメンタリーというのは一見簡単なようで、難しい手法である。それが証拠に、ひとは、フィクションの方に感情移入する。しかし、そのドキュメンタリーを、フィクションのように構成し、感情移入させて見せるスタイルを、マイケル・ムーアは発明した。コピーは、「アポなし突撃取材」。

 「まさか」のトランプ政権誕生以後のアメリカは、本編にあるように、若者の革命を待つ完全左翼の国となった。まずは、国民の半数は、選挙に行かない。ゆえに、選挙結果は、作為したもの勝ちになる。そこを狙ったトランプである。ヒットラーそっくり。これは、どこぞの国のバカが、「ヒットラーの手法を真似ればいい」といった程度のものではない。徹底的にそっくりなのである。ゆえに、アメリカは革命を待つだけの国となり、その革命とは、世界の独裁者が吹聴するような、テロと似たものではない。それは、小学生(!)(←すでにして「革命的」(笑))から大学生までの、政治参加である。本編では、その様子がとことん紹介されている。そして、ムーアは、高校生活動家の「秘密のアジト」にも招待されている。

 本作は、本気の革命待望映画である。

 

 本編にも、ムーア自身の口から出てくる、「(ベトナム戦争時代)アメリカ人であることが恥ずかしい」といった、アメリカの哲学者、スーザン・ソンタグに、ムーアは私淑しているかに見えるが、実は、私の卒論も、ソンタグであった(笑)。






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