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【詩】「だめなんだ」 [詩]

「だめなんだ」

 

だめなんだ

詩を書いたあといつも思う

それでもう忘れることにして

次の詩を書く

果たしてこれは詩なのか?

とも思う

けれど何かを書きとめたくて

書いてしまうと

心が満たされて

寝ようと思う

「あの薄い本をベルクソンは八年かけて

書いたんです」

小林秀雄のCDの声が聞こえてくる

だめだという迷路こそ

おそらく生き延びる

唯一の道

 

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【詩】「青空」 [詩]

「青空」

 

空は

青いもの

と思った

青という言葉も

知らなかった

母の背中で

母は

庭の洗濯台で

洗濯をしていた

 

あおい

粒子がわが幼年期を

満たし

母の背中で

母と一体となっていた

母のうなじが

宇宙だった

 

母が洗濯板に

石鹸を擦りつけると

真珠のような

泡が広がり

清潔な匂いが

宇宙を形成した

 

私は時間という

宝物を

得た



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【詩】「ネルヴァル」 [詩]

「ネルヴァル」

 

フランス人でも、ネルヴァルを読む者は、変わり者とされる。

パリより少し離れた田舎を舞台とし、初恋の少女をいつまでも思った。そして、パリの込み入った街路のどこか、廃屋のような場所で、縊死し、長らく発見されなかった。ゆえに、遺体は、黒ずんで、腐ったバナナよりももっとひどいものになっていた。生前すでに、気がちがっていて、奇妙な言葉を口走っていたという──。されど、その奇態に星の刺繍をほどこし、三途の川を、プレスリーのようなスパンコールの衣装で歌い踊りながらいったのがネルヴァルだ。彼こそ詩人。誰も認めぬが、今宵、その「現場」で、私は、FBI特別捜査官はニッキー・アンダーソンと、ワルツを踊ることになっている。古い、その、形式の、曲を。

彼の死を寿ぐために。



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けふの春めいたランチ [料理]

けふの、春めいたランチ。

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きのうの春めいたランチ [料理]

きのうの、春めいたランチ。

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【詩】「モランディ」 [詩]

「モランディ」

 

マストロヤンニは作家志望だったが、結局、パパラッチから抜け出せず、豪邸にてどんちゃん騒ぎのパーティーに参加。ふと、壁の絵を見てつぶやく、

「モランディは完璧だ」

それから幾とせ、ボローニャを目指した。もう美術館はなくなっていて、ニューヨークのMOMAを真似た現代美術館に移されていた。そうだ、MAMBOとか言った。「モランディ美術館はどこですか?」と、まだ営業してない店から出てきた少年のような青年のような若い男に聞くと、「マンボ! マンボ!」と答えた。

MAMBOの開館は3日後。その間にフィレンツェに行かねばならない。行って戻ってくると、ちょうどその日がオープンの日で、無料。モランディのすべてを見て、現代美術を見て、それから、満たされた気分で、マクドナルドに入った。「コーヒー」というと、アフリカ系のおばさんは、あんたバカか、というような顔をして、「コーヒーなら、となりのスタンドで買っとくれ」と言った。少なくとも、ボローニャのマクドナルドにコーヒーはない。

 

肌色、うす黄色、うす紫。モランディで大切なのは、構図ではなく、色。川のように、いつも流れている。

 


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90歳の運び屋 [文学]

【詩】「夜よ物語を終えよ」

野球帽の

ひさしの角度で……←実はこの詩は、クリント・イーストウッドの90歳の運び屋のチラシを見ながら書いた。かっこえー、と思ったんで(爆)。



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【詩】「夜よ物語を終えよ」 [詩]

「夜よ物語を終えよ」

 

野球帽の

ひさしの角度で

祖父と知れた

幾度も夢に現れて

夜の双六を

進めるように

勇気づけてくれた

実を言えばその男は

血のつながった祖父ではなく

祖母が

生きていくために同棲した

あかの他人

それでも
私の祖父は

そのひとしか

いなかった


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【詩】「しかして、アエネーアースはローマへ向かう」 [詩]

「しかして、アエネーアースはローマへ向かう」

 

トロイ戦争のおわり

アマゾネスに助けられ、まるで

運命のように

アエネーアースと名づけられた若者は、

イタリアへと向かう

さまよう時間は七年

長くもあり短くもある、と、そこで、

作者ウェルギリウスは「あえかの蘆笛で」を

削除する、この海は、

鉛色

かつて奴隷たちが帆船を漕いだ渦まきの感触が

足裏に蘇る

アリストテレスの原稿は実はメモしか残ってない、

らしい

いずれ朽ちたパピルスさえも

アレキサンドリアの図書館から消えるとき

作家志望でもパパラッチの

マストロヤンニは、

浜に打ち上げられた腐った

巨大な魚のそばを

あるく

とうに

希望は

消えている


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『ファースト・マン』──レトロ感漂う魂の映画にIMAXはいらない(★★★★★) [映画レビュー]

『ファースト・マン』(デイミアン・チャゼル監督、2018年、原題『FIRST MAN』)

 

 ひとはなんのために、宇宙開発をするのか? 虫の眼で見れば、覇権争いのためだろうか。ひとはいつから、いま自分が生活している場所から、空の方へ行って見ようと思ったのか? いちばん身近な天体としては月があり、太陽よりも、簡単に行けそうである。アインシュタインが宇宙のあり方についての理論を創り上げ、ホーキングがそれをさらに進化させた。しかし、それらは、あくまで理論だ。いま、AIの存在があたりまえになり、なんでもコンピューターで制御できる時代から見ると、デジタルではなかった時代、つまりは十分なコンピューターがなかった時代に宇宙ロケットを作り、それを月に飛ばすなど、狂気の沙汰に見える。ゆえに宇宙飛行士には、高い知性が必要とされた。ただ体格がいい、運動神経が優れているだけではだめなのである。自らも、技術を持って、「計算」しなければならない。ちなみに、言っておけば、AIとは、プログラミングからなっており、人間対ロボット、ではなく、プログラミングできない人間と、プログラミングできる人間に分かれていくのが未来の図だと、識者たちは言っている。さらに時代が進めば、そんなこともばからしいようになっていくだろう。したがって、60年代が科学的に劣った時代だとも言えない。「科学とは方法論にすぎない」と小林秀雄も言っている。

 ゴダールも知らないバカが、画面が揺れる、ぶれる、アップが多いとほざいていたが、この手法は、ゴダールがそれこそ何十年も前から使っていた手法である。おそらく手持ちカメラか、あるいはそれを意識した方法で撮られていると思われる。アナログの時代のアナログ感を、カメラも必死にまとおうとしている。訓練施設のリアルなチャチさ、宇宙船内部から見える視界、などなど。そして宇宙服を着たライアン・ゴズリングのヘルメット越しの表情。ほとんど目元のみ。

 愛娘を失ったニール・アームストロングが、数々の試練を乗り越え、まるで娘に導かれるようにして、月の地を踏む「ファーストマン」となる。それは、彼の魂の物語であり、それをよく映像化しえていたと、まずは、われわれも、讃えるべきではないか?

 IMAXのために作られたと、Yahoo!映画の批評家氏は書かれていたが、私も、『ブレードランナー2049』などは、IMAXで観て堪能したが、手持ちカメラ風のレトロ感漂う魂の映画にIMAXはいらない。



 


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