【詩】「ネルヴァル」 [詩]
「ネルヴァル」
フランス人でも、ネルヴァルを読む者は、変わり者とされる。
パリより少し離れた田舎を舞台とし、初恋の少女をいつまでも思った。そして、パリの込み入った街路のどこか、廃屋のような場所で、縊死し、長らく発見されなかった。ゆえに、遺体は、黒ずんで、腐ったバナナよりももっとひどいものになっていた。生前すでに、気がちがっていて、奇妙な言葉を口走っていたという──。されど、その奇態に星の刺繍をほどこし、三途の川を、プレスリーのようなスパンコールの衣装で歌い踊りながらいったのがネルヴァルだ。彼こそ詩人。誰も認めぬが、今宵、その「現場」で、私は、FBI特別捜査官はニッキー・アンダーソンと、ワルツを踊ることになっている。古い、その、形式の、曲を。