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『ブラック・クランズマン』──スパイク・リーの最高傑作!(★★★★★) [映画レビュー]

『ブラック・クランズマン』(スパイク・リー監督、 2018年、原題『BLACKKKLANSMAN』)

 

 スパイク・リーは、『ドゥー・ザ・ライト・シング』から観ている。おちゃらけのようで、「やがて悲しき鵜飼いかな」というか、すごい深みに入っていく、といった作風は変わらない。今回、主演のジョン・デヴィッド・ワシントンのオトッツァンの、デンゼル・ワシントンをとことんセクシーに撮った、『モ’・ベター・ブルース』のような、ロマンティック映画も得意で、マイケル・ムーア風辛辣さも得意で、実は、巨匠というのにふさわしいが、存外賞に恵まれていないのは、もしかしたら、「差別」なのかもしれない。スパイク・リーこそは、真にラディカルな黒人の論客と言えるかもしれない。貧弱な肉体から発される、過激な思想と華麗なフィルムメーキング。

 黒人刑事がKKKに覆面捜査官として「電話で」潜入。「姿」は、白人だが、ユダヤ人かもしれない、アダム・ドライヴァーが担当する。このコンビが新鮮で、なかなかいい。ドラヴァーはふて腐れぎみで、ワシントンは、どこか白けている。つまり、ふたりともクールなのである。熱血漢からはほど遠い。そして、白人は悪者ばかりでなく、この警察署では、一応、心ある白人が存在して、それらが、KKKのデータ集めのため、このコンビの捜査に協力する。「白人悪役」グループは、まー、揃えも揃えたりの、いかにも悪役ヅラばかり。KKK会員の夫に協力するデブの奥さんも含めて。一方、黒人グループは、大学の活動家のヒロインをはじめ、かわいい、清潔、美しい、まっとうな姿の人々を揃えている。

 映画の構成は、KKKの集会と、黒人のプロテスト集会を同時進行させ、交互に描くのも斬新かつサスペンスがある。これぞ、ほんとうの黒人映画。しかも、マジではなく、70年代ではあるが、ストーリーも、音楽も、ズラしている。つまり、21世紀の解釈が入っている。

 最後には、クリント・イーストウッドもつかっている手法で、実写フィルム(現実の事件の)へと繋げていく。これを、芸がないと取る素朴なレビュアーもいたが、これは、高度なテクなのである。ちょっと一回では、重要な細部を落としているようで、もう一回観る必要があるナ。




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