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『リヴァプール、最後の恋』──リトル・ダンサー、ジェイミーの体が美しい(★★★★★) [映画レビュー]

『リヴァプール、最後の恋』(ポール・マクギガン監督、 2017年、原題『FILM STARS DON'T DIE IN LIVERPOOL』)

 

『ラッキーナンバー7 』(2006)で、パズルのような展開を見せた、ポール・マクギガン監督ゆえに、今回も、そう簡単には、老いた女と若い男の恋を描かない。たとえ、女が往年のスター女優で、四度の結婚、そして、その夫のひとりは、義理の息子にあたる人物で、しかも、今回の「恋人」と、ほぼ同年の息子もいても、お互い独身であるのだから、世間的には、とくに咎めだてされるものではない。それを前提に、若い男の方の、家族(母、父、兄)が、二人に協力し、支えてくれる。アットホームな(笑)恋愛モノなのである。これが、男が年上の方だったら、なんの問題もない、というか、ドラマも生まれないことであろう。

 アネット・ベニングはそうすきな女優ではないし、対する、若い恋人役の、ジェイミー・ベルも、地味で色気もないように思った。しかし、若い男との恋は、私のテーマ(笑)なので、見ないわけにはいかなかった(笑)。見てびっくり、こんな陳腐なハナシを、実に魅力的に、おしゃれに作っているのである。ハナシは飛ぶが、スピルバーグの『ウェストサイド・ストーリー』のリメイクに期待がかかる。

 『リトル・ダンサー』のジェイミー・ベルは、やはり、ダンスが得意なのか。トラボルタの踊りをマネするシーンはすばらしい。何度でも見たくなる。しかも体がたいへんきれいで、顔の作りは地味ながら、端正な表情が出せる。若い男が、冷やかしでなく、本気で年上の女を愛する誠実さが伝わってくる。一方、アネット・ベニングも、素顔を晒し、シワもシミも、フェイスラインの崩れ具合も、恋愛にはなんの支障もないことを納得させる。

 ジェイミー・ベルが部屋のドアを開けるたびに、時間が飛んで過去のシーンへと展開し、舞台じたてのようであり、リヴァプールと、ニューヨーク、カリフォルニアの、舞台の国と、ハリウッドを比較させ、ベケット、シェークスピア、テネシー・ウィリアムズなどへの、言及、引用をし、最後は、ほんとうの恋の終わりに涙を流させるという趣向は、たいへんなワザである。




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