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【詩】「鴨」 [詩]

「鴨」

 

鴨は草のなかにじっとして、

鴉のように嫌われ者を演じることもなく、

鷺のように目立とうとすることもなく、

ただここでは、誰も鴨など食べようとしないことに安堵しているようだった。亀のように、

鯉に食らいつくこともなく、水に浮かぶことにも飽きて、

平穏な時間を味わっているようだった。定めがたい空の色

その豊かさに満足して、愛を失った者も得た者も

そのそばを通りすぎてゆくのだが、その魂は

草の一本より小さく、けれど存在して、

あなたに語りかけている。

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【詩】「最高峰」 [詩]

「最高峰」

 

詩人のHさんは、杜甫の詩を「古今東西の詩の最高峰」と書かれていましたが、ここで、詩というのは、日本では、古来、和歌に対して詩、すなわち漢詩であったので、その最高峰ということになります。一方、新体詩、近代詩、現代詩の歴史が日本にはあって、これも「詩」と言われます。ついで、中国文学者の吉川幸次郎を、「杜甫研究者の最高峰」と、吉川の全集の杜甫の巻の写真とともに載せられて(Facebookに)いましたが、それも認めるのに吝かではないですが、吉川は、杜甫がいかに緻密かを説いていますが、これは、定型詩、漢詩の定型詩としての緻密を含んでいます。そこに何ものかを学んで今の詩作に生かすのもよいでしょう。しかしながら、私などは、ざっと見たところ、あまり学ぶものがないのです。実は吉川幸次郎の前に、荻生徂徠というヒトがいますし、彼を尊敬した本居宣長というヒトもいます。そしてHさんは、歌謡曲のような俳句だか短歌だかわかりませんが、もう離さないぞ梅雨近し、みたいな短詩のようなものを書かれていました。これと、杜甫と、どういう関係にあるのでしょう? 多くの有名詩人への恨み言も書かれていました。おそらく何か賞の候補になって、酷評されたのでしょうか? 個人への恨みを、公の場で書くのは、得策とは言えません。五十代の方のようですが、詩作以外のお仕事は何をされているのでしょう? 毎日ヒマそうに見えますが。何人かの詩人の方々に、詩作を意見しているのを見かけましたが。才能もあり、りっぱな蔵書もお持ちのようですが。……そう、杜甫は、きっと、Hさんのような詩人だったんでしょう。いつか、誰かが、「最高峰」と言ってくれる未来を信じて精進してください──。

 

杜甫よ、詩が朽ちていく夜だ。宇宙のエントロピーは爛れ、人間である意味も不明だ。そう、映画『赫い髪の女』で、宮下順子が、石橋れんじに、「あの卵、もーしょい安かったんよ、買っときゃよかった」と口走っている場面がずっと焼き付いたままで、同じ台詞を家人に向かって吐いている私だ。

 

「最高峰」どういう山なのか? トーマス・マンの『魔の山』の主人公、ハンス・カストルプは果たしてのぼれるか?

 

離さないで。ノーベル賞作家カズオ・イシグロだって書いている。そうか、

梅雨が近いのか。

ジェイク・ギレンホールと、……する夢でも見るか。

 

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