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『パピヨン』──リメイクというよりリニューアル(★★★★★) [映画レビュー]

『パピヨン』( マイケル・ノアー監督、2017年、原題『PAPILLON』)

 

 1973年作『パピヨン』を観ていなかったので、Amazonレンタルで前日に観て、本作に望んだ。オリジナルは2時間30分の長尺。リメイク版は、20分ほど短縮して、まさに、「余分だなー」と思えるシーンをカットしているが、ほぼ同じ脚本を使っているとみえる。カット割りなどもわりあい重なる部分がある。オリジナル版は、意外や「シブい」と思っていたマックィーンが若々しく、ジュード・ロウを思わせる甘ささえ漂わせている。そして、相手役のダスティン・ホフマンも、痩せていて、ナイーブな美形に見えた。

 

 本作もほぼ、オリジナルの2人を復元したと見た。しかし、主役のパピヨン、チャーリー・ハナムが、美形ですごくよいのである。実は、レミ・マレクを見にいったのだが、彼もそれなりに演技力を発揮してよかったのだが、こちらも当時のホフマンに似させていたが、やはり「パピヨン」役の引き立て役っぽい感じだったのは、ストーリーがストーリーだけにしかたがないだろう。そういう意味では、『ボヘミアン・ラプソディ』で「爆発」後、よく抑えのきいた演技をしていたなと思う。

 

 さて、では、映画全体はどうかといえば、余分な部分をカットし、細部を変えたことで、テーマ全体が変わっているのである。これは、胸に蝶の入れ墨のある無実の脱獄囚のヒーロー物語ではなく、フランスという、監獄ハイブランド国(笑)の、最も残酷だと言われる、ギアナに作られた「流刑地」の告発映画なのである。『鉄仮面』とか『レ・ミレゼラブル』とか、監獄は、おフランスの名物のようである。なんと第二次世界大戦の時代に、そんな場所があったのか、である。そこから、辛くも脱出した男が、作家になり、歴史に残さねばと書いたのが、『パピヨン』である、と、「あらためて」言っている映画になっていたのである。




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