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けふの一首@20170122 [短歌]

 

 寒に耐へ肩寄せ合ひて夢を見る女房たちの禁色は赤

 (『紫式部日記』を読んで)




けふの一首@20161115 [短歌]



    交はつてスーパームーンを眺めたい
       すでに死んでる私だけれど


「文化功労者に選ばれた、歌人岡井隆氏について」 [短歌]

「文化功労者に選ばれた、歌人岡井隆氏について」


 この人は、わが故郷、豊橋にある国立病院で医師をしてました。友人の、俳人の父は、アル中で肝臓をやられ、主治医はこの人でしたが、患者以上に大酒飲みのこの人の担当にあって、打ち勝つことができず、友人の父は59歳の若さで亡くなりました。


また、若くして自死し、歌集『意志表示』で、寺山修司に、「ノックアウトをくらったボクサーのように惨めだ」と言われ、「意志表示せまり声なきこえを背にただ掌の中にマッチ擦るのみ」(『意思表示』所収)という歌をパクられ(例の「マッチ擦るつかのま海に霧ふかし身捨つるほどの祖国はありや」(「祖国喪失」『空には本』所収)た歌人、岸上大作は、その遺書に、「自分の死体は、岡井先生に解剖してもらいたい」と書いている。「ご指名」された方は、いい迷惑ですが(笑)。


 


どんな時代も、この人は生き延びて、こうして勲章までもらうことになった。なにごとかをなすには、強い肉体と、質に変換するまでの作品の量。


 


歌集『土地よ、痛みを負え』は、ごくたま〜に、ひっぱり出してランダムに読みますが、この時代は、パキスタン・ペシャワールの中村哲医師をも思わせるような、凄絶な場所にいて、凄絶な歌を詠んでいました。男女カンケイもいろいろあったようですが、私はそっちの方面はあまり関心ないです(笑)。まあ、すごい生命力ですワ(祝)。


 


『現代短歌体系7』(三一書房)所収の、『土地よ、痛みを負え』完本より、以下、ランダムに引用してみます。


 


「岡井隆論」は、金子兜太氏が書いている。


 


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「ゴキブリの祭り」より


 


 ゴキブリの祭りに招(よ)ばるわれらかく生きる周到の理由もてりや


 



 


「朝鮮人居住区にて」より


 


百坪の母国で老婆死んでいるその四肢〈運命〉の諺文(オンモン)を模し


 


軍歌のかげからさげすんで来た過去もてば死に添いてまつ暁(あけ)の遠さよ


 



 


「遺書」より


 


いまは無用の溢血 鼻腔抑えあうわれと鏡のなかのわれとが


 


「死について」より


 


家兎(かと)の眼に熟れてゆく死よ少年の遺骸のごとくわれはおしまん


 



 


「土地よ、痛みを負え」より


 


モルモットを摑むとき手がまことたゆく袖はしきりに汚穢(おえ)にふれゆく


 


 


http://mainichi.jp/articles/20161028/k00/00e/040/253000c

 

 


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