『ダラス・バイヤーズクラブ』──美しい男二人が挑んだ汚れ役 [映画レビュー]
『ダラス・バイヤーズクラブ』(ジャン=マルク・ヴァレ監督、2013年、117分)
1980年代のエイズにまつわるハナシを、なんで今更という感じがする。しかし、じっくり見てみれば、焦点は、非合法のクスリを配布する手段としてではあるが、「ビジネス」に当てられている。確かに、80年代に映画化されれば、ちがった切り口であったろう。
主役のマシュー・マコノフィーが、20キロ減量したというのが話題だが、物理的に肉体を変えてしまうアメリカ型演技もいいかげんにしろよといいたい。しかし、このマコノフィー、昔は、おっとりしたおぼっちゃま的いい男のイメージだったが、近年は、ワイルド感を爆発させて、こっちの方が「地」に近いのか。
カウボーイ、ゲイ、クスリ……。どこをとっても、きれいとは言えない、マッチョの汗臭さと、女装のゲイのグロテスクな世界を、マコノフィーとジャレッド・レトという、二人の、きれいな男が演じたのがなにより本作のエンターテインメント的価値である。やはり、役者は見られてナンボ。美しい男二人が、挑んだ汚れ役。それで、オスカーがとれた。よかったネ。ま、そういうのも、映画の一つの魅力かな、と、それだけの映画のような気もする。
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