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『現代思想』「シャルリ・エブド襲撃/イスラム国人質事件の衝撃」を読んで。 [政治]

『現代思想』3月臨時増刊号(青土社、2015年2月刊)「シャルリ・エブド襲撃/イスラム国人質事件の衝撃」を読んで。

 

「パリの襲撃事件は、西洋の怒りが偽善であることを示している」(ノーム・チョムスキー 佐野智規訳 )より

 

「表現の自由、『自由・平等・博愛』という神聖なる原理をフランスがどのように掲げているのかと尋ねることは、自然なことだ。たとえばゲソ法にはその原理が貫徹しているのだろうか? この法はくりかえし執行されているが、それは「歴史的真実」を決定し、またその決定からの逸脱を罰する権利を、国家に対して与えている。ホロコースト生存者(ロマ)の哀れな子孫たちを、ひどい迫害の行われている東欧へと放逐しているのはどういうことか? シャルリ・エブドのテロ実行犯たちをジハーディストへと成長させた、パリのバンリューに住む北アフリカ移民たちへのひどい扱いはどうか? かの勇猛果敢なジャーナリズム誌シャルリ・エブドが漫画家シネを、その発言に反ユダヤ的暗示が含まれているのではないか、という理由で解雇したことはどうなるのか? いくらでも疑問は湧いてくる。

 さらに、よりあからさまな不作為にただちに気づかないものはいないだろう。すなわちパレスチナ人こそまさに、野蛮な暴力からの「恐るべき挑戦」に直面しているひとびとである。ガザ地区に対するイスラエルの残虐非道な攻撃は二〇一四年夏、そこで何千人ものひとびとともに多くのジャーナリストが殺害された。ときにははっきりと報道マークがついた車中においてさえ。イスラエルが管理するこの野外刑務所はふたたび灰燼に帰した。調査が入ればたちまち崩れてしまうような口実に基づいて」

 

 

   デモに参加することが、自由意志によるアンガージュマンではなく、国家による強制となり、たったひとつの思想しか許さなくなってしまったフランスは、「警察国家」へと変貌しつつあるかのようだ。テロリストを擁護するわけではないが、そうして国家によって、テロリストの「実行犯」への選択を余儀なくされていくムスリムの「不良」たちは、「永山則夫」をふと思わせた。その詳細は、以下の討議に詳しいが、こちらは、安倍首相の行為についても言及しており、日本の事情なので、その箇所を引用しておく。

 

 

****

 

「罠はどこに仕掛けられたか」(討議 栗田禎子 × 西谷修)より

 

西谷修「そもそも、なぜこの時期に安倍首相がイスラエルに行き、親イスラエルの立場を鮮明にしたのか。そこに異様さを感じています。イスラム国に二人の日本人が拘束されているという事実は、外務省と官邸は去年から知っていたわけです。それを知りながら親イスラエルの立場を鮮明にしたのは、あえてなのか、とてつもない外交音痴なのか、そのどちらかでしかない。

 安倍としては、テロの戦争に加わることで集団的自衛権を現実化し、アメリカの同盟国としての『期待』に応えることで、靖国参拝も認めさせたい。さらには数少ない成長分野としての軍事産業(と原発輸出)を振興したいという思惑があるのでしょう。加えて言うなら、イスラエルにここまで加担する理由は、イスラエルが恒常的に戦争を行って最先端の軍事技術を保持していること、そしてガザのような地域を軍事的に占領している姿勢への共感ではないでしょうか。日本には沖縄もありますし」

 

 

 

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