斎藤茂吉 [文学]
落葉樹の木立のなかに水たまりあり折々反射の光をはなつ 斎藤茂吉
「水たまり」誰も知らないその歌は小林旭 iPodのなか 山下
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「明治二十六年ごろから、正岡子規を中心として、俳句および和歌の革新運動がおこった。それは、いずれも、写生という表現理念をふりかざすものであるが、かような短詩型文藝──とくに俳句──において、リアリズムの手法を生かしてゆくことは、困難であり無理でもあった。俳句のほうでは、写生の模範として蕪村を採りあげたことが、理論と作品を分裂させる結果となり、革新はあまり成功しなかった。和歌のほうは、後年、斎藤茂吉らが写生の理論を修正──というより変質──させることにより、近代化を成就した」
「短歌の世界では、子規系統の『アララギ』が歌壇の主流をなし、その中心となった斎藤茂吉は、子規の写生理論を修正・深化すると共に、近代的情感とたくましい生命力をもりあげ、歌壇を越えて宏汎な影響を与えた。これに対し、俳壇では、虚子によって継承された子規の写生は、再び第二藝術へ逆行し、近代性を喪失した」(小西甚一『日本文学史』講談社学術文庫)
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