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自民圧勝分析 [政治]

【自民圧勝分析】


 


 参院選挙前のNHKの街頭インタビューで、(編集されているだろうなかに)60がらみの女性が、「アベノミクスに期待したいですね」などと答えていた。「アベノミクスに期待する」とは、いまだに、というか最近またよく聞く言葉であるが、これは、安倍政権側が、選挙の餌(えさ)としてばらまいたものと思われる。果たして、「アベノミクスに期待する」といった人々のなかのどれだけの人が、アベノミクスとは、どのような「経済事態」を意味するのか、わかっていたのだろうか? このレーガノミクスをもじったスローガンのような言葉は、口当たりこそよけれ、経済学的に実証するには、非常に複雑で難解なものである。以下、ケンブリッジでケインズ理論を学んだ、理論経済学者の伊東光晴氏の著書、『アベノミクス批判 四本の矢を折る』(岩波書店)から引用(カッコで示している)、整理しておく。


 


 なお、安倍首相の掲げる経済政策は、3本の矢であるが、4本目の矢として、「改憲」があると見て、伊藤氏は、この本の出版時(2014年7月)には、「隠された第四の矢」としている。


 


 しかし、今回の選挙、「自民圧勝」の後、ついに、この4本目の矢を堂々と持ち出したようである。


 


 つまり、安倍首相の今回の参院選の戦略は、選挙前は、アベノミクスの儲け話の幻想で、欲の皮の突っ張った小金持ちと、もしかしたらいいことあるかもしれないと、軽い気持ちで飛びつくバカを釣り、選挙後は、「改憲へのご支持と受けとめた」と、餌を引っ込め、改憲(世界のナショナリズムの波に乗り、自分の存在価値を主張(実際は、「空気というか事態を読めず、欧米先進国の指導者からは浮いている))を取り出したと見た。


 


しかし、あまりものごとを深く考えない人々は、「改憲? いいんじゃないの、古いし」。そう、改憲派の多くのオッサンたち(ネットで主張している人々は、年寄りのジジイが多い)は、「古い」を改憲の理由にあげている。古いのは、おまえだろー! です。古いことが改憲の理由なら、こういうジジイたちも、難民の子どもたちとでも交換したいです(爆)。


 


*****


 


第一の矢→金融政策


 


 「通貨供給量の大幅な増加とは、銀行が所有している国債等を中央銀行である日銀が買い取り、その代金を各銀行が日銀に保有している当座預金勘定に払い込む」


 「銀行は利子のつかない当座預金を引き出し、企業に融資し、利子を稼ぎたい」しかし、(こげつく危険のない)優良な借りてはなかなかない。


 海外もゼロ金利政策をしているので、円を海外に移して利子を稼ぐこともできない。


「その結果、日銀の通貨供給量の増加分は海外に出ず、日銀にある(各銀行の)当座預金勘定に積み上がっている」


 


 これは、以前の日銀の状態と変わらないどころか、積み上がり量が増えているぶん悪くなっている。


 


 


第二の矢→「国土強靱化政策」


 


「近く日本を襲うかと思われている『南海トラフ地震』と『首都直下型地震』に対処して、これに耐える強靱な国土をつくろうと、10年間に200兆円の対策費を投ずるとされている」


 


「民主党政権時、『コンクリートから人へ』で、公共投資の抑制を打ちだしたものを逆にし、再び『コンクリート』が表舞台へ」


「10年間200兆円を投入するということは、たとえば、1年間に20兆円である。2014年度の公共事業関係予算は、5兆9685億円である」将来の災害用だけでなく、ほかの分野でも必要だろうことを考えれば、実現不可能なことは明白である。


 


 


第三の矢→成長戦略


 


欧米諸国が、「リーマン・ショックを超金融緩和で切り抜けたものの、投機に失敗した企業は不良債権をかかえ、低金利とはいえ、その消却のためかなりの年月をかけねばならず、そのため、経済は停滞を余儀なくされている。ちょうどそれは八〇年代の投機の失敗でバランスシートのいたんだ企業をかかえ、不況感をただよわせた日本の九〇年代のような状態である。いまは成長志向ではない」と考えているときに、経済成長を主張している政策である。


 


イメージとしては、巨額な借金返済のために地道に支払いの道を考えなければならないときに、まだ儲け話の夢を人々に売り続けるといったところだろうか。




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