【詩】「夕顔」 [詩]
「夕顔」
夏の風がきみをその女のもとへ運んだ。
むしろ匂つてゐたのは忍冬で、
十七歳のきみは身体を狂はされ、
その不調が生霊の正体だつた。
だが、恋人は植物のやうにはかなくなつた。
それこそ夕顔の精だつた。
二人して小さな価値をつくつてみないか? ほら
ここに、そろひのタトウなど彫つて
でもきみはあへてぼくに問ふ
ぼくたちの美はどこにあるのか。
それはきみの瞳のなかに
これまで喰らつてきた恥と汚辱が光に変わるとき、
おぼえこそ重かるべき御身のほどなれど、
ソラリスにては時はあらず。
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