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【詩】「お祭りの夜」 [詩]

「お祭りの夜」

 

いちのみやのおばあちゃんちで寝ていて柱時計が鳴って目覚めてしまった時、私は自分の家を今出るところだという錯覚にとらわれ、頭と足がどっちの方向を向いているのかわからなくなり、自分自身がある種の考えそのもののような気がしてくる。肉体は透明になって、私自身が四方八方へ延びていき、それは時間への浸潤という言葉がぴったりとくるような。遠い旅人であったり、悲しい旅役者であったり、芸に疲れた猿であったり、もっと遠くの砂漠の国の夢の破片であったり、間違ったままの文法であったり、決して読み終えられることのない本であったり。〈私〉というものも解体して、なんどもなんども夢への侵入に失敗する、そんなお祭りの夜。




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