【詩】「春待つアリス」 [詩]
「春待つアリス」
依然コタツで居眠りしている。
世界は無音の祝祭中だが、
ボクはこうして背をまるめて
眠りながらミステリーを書いている。
長編小説は、レース編みのように、
ひとめひとめ、辛抱強く
続けていかなければならないんだ。
殺人はあっても、それはクロッカスの球根のようなもので、
ひとの感情は動かない
謎を星雲のように渦巻かせ
へのへのもへじの双六の夢
かつて、鰐だったもの
かつて、560円だったもの
らが、耳を澄まして
あるちゅーるのランボーが
ぶっきらぼうに言葉をステアして、
ミキシンググラスのなかで地獄とやらが
あまいカクテルと化していくのを
聴いている。
いったいなんだっていうんだ? きみの地獄って。
依然夜だ
朝なんて来ない。春が永遠に来ないように。
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