【詩】「ランボーが残した5000行」 [詩]
「ランボーが残した5000行」
私のなかで、ランボーはレオナルド・ディカプリオの姿をとって、
黒髪、濃い眉の、蓮實重彥に言わせれば、「許しがたい容貌」のロマーヌ・ボーランジェ嬢を嫉妬のるつぼに突き落としている。
太陽と月に背いて、宇宙の法則に背いて、人間という概念に背いて、
十六歳から十九歳まで
たったの5000行を残したきり。
そして私はまた、その年齢にふさわしい、おフランスの
小僧っ子が「地獄での一季節」を朗読しているのをiPodで聴いている。まるで泥のつぶてを投げつけるように読んでいる。
彼はなにもの? おそらくアルチュールだ。
「ラシーヌ、ふふんだ、ヴィクトル・ユーゴー……溜まらない」
ドストエフスキーはロシアで、「悪霊」を書き始めていた。
ボードレールはとっくに死んでいた。
のちに「プルースト」と呼ばれる赤ん坊がちょうど生まれたところだった。
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