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【詩】「暑い日になにもすることがなく眠い、ということほど幸せなことがあるだろうか?」 [詩]

「暑い日になにもすることがなく眠い、ということほど幸せなことがあるだろうか?」

 

宇宙のどこかでは灼熱のガスが燃えたぎっているというのに、この土手で、姉が読んでいる本を、一、二回覗き、絵も会話もない本なんて、なんのためになるかわからないわ、などと思っている少女ほど、幸せな存在があるだろうか?

ルイス・キャロルは、少年が嫌いだったという。少年はじっとしていない。少年は思念に留まらない。少年は退屈を知らない。少年は、地底へ何マイルも潜り込んでしまって表層に出てくるすべを知らない。つまり、少年は、みずから不幸に向かっていく──。

アリスといえば、ロリータをすぐ思い出すむきもあるだろう。すぐに性的なニュアンスを持ち出したがる。ナボコフはそういう世間の思惑相手にひと商売しようと思ったに違いない。しかし、内心は、アリスのことを思っていた。つまり、表層に留まる少女。鏡の向こう側にも地底にも表層を見つけてしまう少女。そして、常に退屈している存在。泥にも霧にも芋虫にも水蒸気にも、なにかの切れ端にも、意味を見つけてしまう少女──というか、

少女は、そういうものである。

そして私は、肉体と物体について考えている。

それを結ぶ死というものについて。




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