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【詩】「天皇」 [詩]

「天皇」

 

『私の日本古代史』(新潮選書)の上田正昭によれば、(外来人とウワサされる)大海人皇子が壬申の乱後、天武天皇として即位する時、それまで「大王」という王者の呼び名を、「天皇」と変えた、という。また、はじめて「天皇制」という言葉が出たのは、1931年、共産党の世界組織コミンテルンの「31年テーゼ」草案の時であるという。

『天皇の祭祀』(岩波新書)の村上重良によれば、「古代天皇制の天皇は、イネの祭りに起源する新嘗祭を行う祭司王」であった。

天武のヨメ、持統天皇は、律令制を目指した藤原京を作り、天皇制の基礎、中央集権を始めた。

平安時代後期には、貴族により摂関政治に政治の中心は移り、宮廷は祭祀の場となり、建久3年、1192年7月、征夷大将軍となった源頼朝以降、「国」を動かすのは、幕府となっていく。

建久3年のおれの日記は、3月1日から始まり、5月2日で終わっている。以後、建久7年、1196年2月まで飛ぶ。

 

建久三年五月二日、癸酉、天晴、午時叉雨降、小雷鳴、未後更雨、午時許参舊院、束帯、俄而被始講筵、澄憲爲導師、六十僧着堂許中座、七僧在檻欄内、公卿着弘庇座、……

 

さみだれを集めて早し最上川……ぬあんちゃって。すでに梅雨に入ったとみる。

 

明治天皇曾祖父、光格天皇は、安永七年(1778年)以来中絶していた新嘗祭を復興……(上田正昭『私の日本古代史』)

 

以来、スピルバーグの『天皇』でも、ただひとり、かしこどころに籠もって、代々「天皇」しか知り得ない秘儀を行う天皇が活写される。キャストは……

「天皇」→ダニエル・デイ・リュイス

「かしこどころのモニターに映し出された能面をかぶり着物を着たオアマテラス」→ジョン・マルコビッチ

「かしこどころの外で待つ侍従長」→ケヴィン・スペイシー

「寝所で待つ皇后」→(ひさびさ)イザベル・アジャーニ

 

てなことを、おれは、エーゲ海を漂いながらうつらうつら夢見ている。おれは依然1192年の29歳にいて、そこから出られず、しかも同時に、トルコの砂浜に寝転んでいるホメロスの夢のなかにもいるんだ、ボルヘス、どうしてくれる?

 

あわいとあわいのあいだ、うちゅうというものはあるのか? じゅうりょくのいじょうがうちゅうをつくったというのか? ゆめとゆめのあわいにはなにがある? そは、じゅうりょくか? じゅうりょくとはなにか? なにかとはなにか? やがてうちゅうもしゅうえんする。はたして、しゅうえんとはなにか? とおい、とおい、とおい……ところ。かみはおはす。そのかみは、ほとけのかおをして、おわす。

 

 

おほぞらの法(のり)の雲ぢにすむ月のかぎりもしらぬ光をぞ見る


 

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