【詩】「危険な情事」 [詩]
「危険な情事」
ええと、グレン・クロースは、「その後」改心して、いまは、作家の、それも、ノーベル賞受賞作家の妻役で、どうもほんとうは、その作家の、ずばりいうけど、代筆!をしていたみたいなのだ。こういうのは、これまでも、分野は絵画だったりするけど、よくあるハナシで、陰で支える妻なのだけど……。私はそのノーベル賞作家もよく知らないので、ほんとうのところどうなのか、結末というか、結果まではよくわからない。思うのは、大したもんだよ、グレン・クロースである。あるときは、ずっと男性のふりをし通して身を守るレストランのウェイター役だったり、かわいいわんちゃんの毛皮をほしがる怖いオバサンだったり。しかし、その怖さは、あの役でできあがってしまったのだ。そう、『危険な情事』。マイケル・ダグラスがふとした出来心で、おひとりさま中年女に手を出して、とんだめに合う。ストーカーなる言葉は、この時できあがったような……。ほんとうは、ジョン・バースが小説の中で使っているけど、それは、今いう、しつこく追い回す者の意味ではなかったような……。
そして2019年度のアカデミー賞ノミネート予想に、晴れやかに登場のグレン・クロース。作家を陰で支える妻。もう男は追いかけない。いや、追いかけてる。そのノーベル賞作家の人生をね。かくまで執拗に。
女は、男が地中深く埋めたものを掘り出す
と、トム・ウェイツは歌っている。
女は、男が絶望の谷へと深く沈んでゆくとき、そこから浮かび上がってくる──
ああ、そのさわやかな断髪。ふふふ、小説など
いくらでも書いて、あ・げ・る。
危険な、危険な、危険すぎる
情事
わが国では、大江健三郎とか川端康成
あちらでは、カズオイシグロ
とりわけ美しいわけではなかった、とくに、
そそる女でもなかった。トシだし、ものほしげだし、
マイケル・ダグラスは、一時セックス中毒というウワサがあった、というか、自ら告白したのだったか?
とにかく、そうした状況で、なにかの過ちで、
そのオバハンに手をだしてしまった、
それがジェットコースターより心臓をどきどきさせた、
いま、そんなオバハンと、文豪を陰で支えるバーサンがミックスされて、
サンズ、もとい、三途の川から豪華客船に乗ってやってくる。
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(写真は、パリ、マドレーヌ寺院のクリスマスの日の内部)
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