SSブログ

『6才のボクが、大人になるまで。』──繊細な少年のイーサンがオヤジになるまで(★★★★★) [映画レビュー]

6才のボクが、大人になるまで。』(リチャード・リンクレーター監督、2014年、原題『Boyhood』)


 


 オーディションで選ばれた6才の子役を使い、同じその子を、18才なるまで、毎年同じメインキャストで撮り続けたということで、話題になっている作品。1人の男の子を12年間追い続けた手法はドキュメンタリー「風」ではあるが、結局、フィクションを撮り続けている、というところがポイントである。


 


 ガキっぽい父親役のイーサン・ホークがからくも言っているように、主役のエラー・コルトレーンの、クリエイティビティに、ひたすらかかっている。この子が、途中で、いくらフィクションとはいえ「つまらんガキ」になってしまうリスクも抱えていた。


 同監督の『ビフォア・サンセット』(その後のシリーズも)もそうだが、本作もドキュメンタリー「タッチ」ながら、完全なるフィクションを、その「手触り」を感じさせながら撮っている。いま、フィルモグラフィーを見たら、私のすきな俳優、ジャック・ブラックとも、イーサン・ホークのように、何作か作っていて、なかでも、今回の作とはまったく毛色が違う、『スクール・オブ・ロック』も彼の監督だった。そこには、既成の概念、できあいのゴージャスさに対する反抗が見てとれる。


 


 本作は、子役の少年の感受性もさることながら、「姉」や「両親たち」も、12年間の間には成長していて、パトリシア・アークェットの母親は、ちょっとだらしない雰囲気を漂わせながら、格闘しながら子どもの成長を見守っていき、自分も勉強して、大学で教えるまでになっていくし、まるでガキのような父親のイーサン・ホークも、ほかのおとなにはない優しさを秘めながら、父性に目覚めていく。若い日のあやまちで子どもつくり、若さゆえか、簡単に別れてしまった両親は、それぞれ成熟し、またふたりでくっつけばいいのにと思えども、そこはそれべつの人生を生きていく。


 


 本作で、男の子は変化していくが、作品としての安定を保証しているのは、父親役のイーサン・ホークの存在である。『今を生きる』の頃のホークは、本作の少年より繊細さを感じさせる少年であった。その純な核は変わらず、体型も12年間ほとんど変わらず、なかなかの俳優と見直した次第だ。


 


 


nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。