『たった一人の熱狂-仕事と人生に効く51の言葉-』──「成金編集者」のライフスタイル(笑) [Book]
『たった一人の熱狂-仕事と人生に効く51の言葉-』(見城徹著、2015年3月、扶桑社刊)
この著者は、自分を成功者だと思って、こういう著書を出し、かつ、若い人々に啓蒙しているのでしょう。出版界、とくに、作家の世界に関心があったものですから、ついつい本書を最後まで読んでしまいました(苦笑)。なかには、非常に興味深いエピソードもあり、とくに、駆け出し編集者時代の、作品(石原慎太郎のですが(笑))を諳誦したというところは、感心しました。しかし、スティーヴ・ジョブズでもビル・ゲイツでも、「真の成功者」は、いくら「戦闘服」かしれないれど、オーダーメイドで、裏地にアロハの生地で、ポケットチーフを、裏地と共布で、などという悪趣味ではないし(むしろジョブズなど、いつも同じ黒のトックリセーターとジーンズ)、高い絵を買って居間に飾りたい欲望も、365日会食もあり得ないだろう。むしろ、ゲイツなどは、瞑想の時間を取っているという。そしてなにより、自分が得た富を社会に還元すべく、福祉財団などを作っている。この著者は、利益を、おのれの欲望のみに使い、まったく恥ずかしいですね。
この「編集者」に魂を売らなかった、村上春樹は、嫌いだったけど、なんかすきになったワ(笑)。
ミリオンセラーは何度も出したかもしれなけれど、この人の「売った」ものは、果たして、何冊歴史に残りますか? というより、「中身」があったんですかね(笑)?
安倍首相とも親交があり、素晴らしい人格者と言ってます。あ、そうですか。ただ言えることは、晴れて「成金」となった今、完全にズレてますね。こういう「ライフスタイル」(仕事の鬼、無頼礼讃、バブル志向……)は、もうアウトです。いっしょに飲み歩いていた作家たちは、やはり肝臓などをやられて早世されてますしね(合掌)。
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