SSブログ

【詩】La vie en rose [詩]

【詩】La vie en rose

 

年取った女が、

血管とシミの浮き出た左右の手に、

値引きになった惣菜パックを

それぞれ一パックずつ持ち

どっちにしようか、迷っている。

通り過ぎる私の眼がスキャンするのは、

パックのなかの惣菜ではなく

パックそのものの素材の柔い感触。

老婆の手のなかでぐにゃりとへこむ

厚さ0.05㎜ほどのプラスチック

それから、その手のシミの青黒さ。

あんなトシになって、スーパーのセール品惣菜を

選ばねばならない人生。

いつ作られたかわからないその惣菜は、

右手に持ったものも、左手に持ったものも、

いずれ同じ味と栄養価なのだ。

それでも多少の差異が

老婆の脳にわずかな快楽物質を分泌するか。

La vie en rose

外国の、すでに死んでしまった女が歌っている。

Aのおかずか、Bのおかずか。

あなたの生にイミはあったのか。

やがて人間という概念も終わると

これまたすでに死んでいる哲学者が

書き記している。

 

 

 

 

 


nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。