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『キングスマン 』──軽やかで大胆な新しいスパイもの(★★★★★) [映画レビュー]

『キングスマン』(マシュー・ヴォーン監督、2014年、原題『KINGSMAN: THE SECRET SERVICE』)


 


 本作の前に、ダニエル・クレイグの『スペクター』の予告編をやっていたが、うーーーん……どーなんでしょー? もうジーサンたちには去ってほしいかも(笑)。だいたい、本作のコリン・ファースが、新人をスカウトして、小僧を教育して……となったら、もうお役目ごめん。で、殺されるしかないのは、ある程度予想できる。最後まで彼で引っ張って行くスパイ映画なら、これは、かなり痛いナと思って観たが、名前だけはさすがにアカデミー賞俳優、コリン・ファースを全面に立てていたが、これは、若いスパイの話でしょう。その「拾われた小僧」は、もとは、父が「キングスマン」の新人で、先輩コリンの失態のために死んでいたのだから、構造は、同じ原作者の『ウォンテッド』とそっくりである。『ウォンテッド』では、うだつのあがらないサラリーマンの青年が、(悪を成敗する?)秘密の組織に無理矢理引き込まれるが、ハードな訓練中に、やはり父の遺伝子か、射撃やアクションで凄腕の才能を発揮していき、最後はかっこいいエージェントに成長する話だった。私はこのテーマ曲がすきで今でもiPodで聴いている。


 本作の「真の主人公」のエグジーも、父譲りの才能を発揮していく。まったくの無印新人、タロン・エガートンの、小柄だが引き締まった体、きびきびした動き、かわいい顔、清潔な雰囲気を見ていたら、もうダニエル・クレイグもどーでもいいかな〜(笑)と思えてきたし、ちょっと前に見たトム・クルーズも、絶賛したけど、時が過ぎ去ってみれば、やはり弛みがかかった顔には引きつりも見えて、確かにがんばっていたけど、その「がんばり」が見えてしまってはな〜などと、観客はまこと勝手なものである。観客にとっては、「今」だけが大事なのである。そして、「今」は、すべてを軽やかに、かつ大胆に、の時代だ。つまり、訓練の過程も、大量殺人も、美女とのセックス(「シーン」はなし(笑)。こういうところが「軽い」のである。)も、である。助けたスウェーデンの女王に、キスをねだると、「キスどころか、後ろの穴に入れてもOKよ」などと言われ、教官役のマーク・ストロングのコンピューターに、女王のお尻が映し出される(笑)。さすが、英国紳士、ストロングは、「見ちゃいかんな」とコンピューターの扉を閉める──。てな具合なんだが、タロン・エガートンの若さ=清潔さのせいで、すべてが(悪にICチップを埋められた人々の頭部がばんばんぶっ飛んでいくシーンも、あえて「美しく」撮ってある)さわやかなしあがりになっている。それに、スパイ教育の過程で、子犬と行動をともにする訓練があるが、仕上げの段階で、その犬を撃てと言われる。エグジーは銃口を向けるも、撃てない。そのときの、エグジーを見つめるパグのまん丸な目がなんとも言えない。茶色い丸い目に涙がいっぱい溜まっているように見える。愛犬家の私は、パグだけは、かわいいと思わなかったが、はじめてかわいいと思った(笑)。このわんこには、わんわんオスカーをあげたい(笑)。


 


 


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