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拙訳プルースト『失われた時を求めて』2 [文学]

 

拙訳プルースト『失われた時を求めて』2

「スワン家の方へ」

 第1章「コンブレー」

(承前)

 

そしてその考えは、自分にとって理解しがたいものとなりはじめる、まるで輪廻のあとで前世に存在したときの思考のように、本の主題が自分から離れ、それに専念するもしないも私の自由だった、視界が戻るとすぐに私は自分のまわりに闇を見出して驚くのだった、眼にやさしく、癒してくれる闇、しかし心にはたぶんそれ以上の、まるで理由がなく、理解しがたいもの、ほんとうに暗いもののように私には思われるのだった。


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