倉山満著『国際法で読み解く世界史の真実 (PHP新書) 』──危険思想をオブラートでくるんだ上げ底粗悪本(★) [Book]
『国際法で読み解く世界史の真実 』(倉山満著、PHP新書、–2016年11月刊)
本文288ページの目次を見ると、やたらと細かい。全6章、小見出し42、その小見出しの下に、項目が3〜4個ある。つまり、全部で120以上の項目があり、1項目、2ページ、四百字詰め原稿用紙に換算して、3枚程度しか割かれていない。この数で、「世界の歴史の場面」を、「国際法」(といっても、ルールのある「決闘」の「国際法」=「戦争」が基礎になっている。というか、おもに、「それだけ」(笑))を当てはめて「解説」(というほどのものでもないが)している。しかも、「ですます調」(まずい文章であるが、もしかしたら、編集者を相手に「口頭で説明しただけかも。とても「著書」と言えるものではない)。わかりづらい「物言い」の中から浮かび上がってくる「思想」は、まず、
1,戦争肯定(ルールがあるから)
2,ヒトラー擁護(まるで、「普通の指導者」のような扱い)
3,日本の中国侵略擁護(倫理観抜きの、損得として評価)
4,国際問題を、ヤクザの戦いと同格に扱う(笑)
しかし、あからさまには書かれていない。微妙な書き方だが、それゆえに、かなり危険な本と見た。こういう危険思想を、オブラートにくるんで出している版元の信用もどうですか。この版元から出る本は、厳重吟味の対象となるので、本書が売れても、他の本の売れ行きが落ちることになるかもしれないということに、この版元の社員は気づかないとみえる(笑))売れれば勝ちの風潮に乗ってしまっている、節操なき出版界の、「上げ底粗悪本」。
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